もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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85:1[sage saga]
2024/11/01(金) 20:54:14.05 ID:4JAHijIv0
 
桃「まぞくが攻めてきたぞ――!」

フリーレン「? なにを――」

桃「逃げろ! 外に出るんだ! 家ごと押しつぶされるぞ!」

 再び、投石。高速で投じられたそれは、民家の壁を貫通した。高めを狙ったので村人達に当たることは無いだろうが、家の中で息を潜めていた彼らを恐慌状態に陥れるには十分だった。

村人「うわあああ!」「逃げろ、逃げろ!」「逃げろって、どっちに行けばいいんだ!?」

 村民が家々から飛び出してくる。一級魔法使いを名乗る一行が村に来て、魔族を討伐しようとしているというのは既に村中の噂になっていた。そんな状態で安眠できるわけもない。

 投石の被害がない家の住人達も、釣られるように飛び出してくる。

 月明かりがあるとはいえ、街灯のひとつもない村の中は視界が極端に悪い。だがフリーレンは、村人の視線が一斉に自分の方へ集まるのを感じた。
 その理由もすぐ理解する。展開していた魔方陣が放つ光が、道標のごとく輝いているからだ。

 相手がやろうとしていることに気づき、フリーレンは咄嗟にゾルトラークを放った。住人が脱出したのは確認できている。もはや家屋への被害は考えない。

 攻撃魔法の嵐が、隠れた敵を炙りださんと石造りの建物を吹き飛ばす。その寸前に敵は飛び出し、別の建物の陰に隠れた。

 再度、家ごと敵を吹き飛ばすために攻撃魔法を乱射する。轟音と光に村人達が悲鳴を上げるが無視。可能な限り早く倒す必要がある。

 だが数度繰り返すと、敵の魔力を感知できなくなった。タイミングを計り、攻撃魔法の着弾と同時に魔力を村人と同じレベルまで絞ったのだろう。
 そこらをうろちょろする村人のせいで弾道が制限されていた為、仕留めきれなかった。

フリーレン「やりやがった……」

 苦々しく呟く。

 村のあちこちから村人が助けを求めてこちらに向かって来ていた。敵はこの群衆に紛れて接近する気だ。

村人「助けて!」「魔法使い様! 助けてください!」「魔法使い様――!」

フリーレン(こんな手を即座に思いついて実行するなんて、とんでもない奴だな……魔力制限をした上で人混みに紛れられたら魔力探知じゃ見つからない)
フリーレン(こう暗くて人数もいるとなると、目視での判別も無理だ)

 助けを求めて寄ってくる村人達へ、制止の声を上げたところで無駄だろう。下手をすればパニックになった群衆に押しつぶされかねない。

フリーレン(……賭けになるけど、仕方ないな)

フリーレン「――<解除>!」

 フリーレンは洗脳を解くための解除魔法を最大範囲で展開した

 解除魔法の副作用である眠りの影響で、フリーレンに近い村人からばたばたと倒れていく。
 フリーレンは神経を尖らせながら、無数の人影の動向を見守った。投石の可能性もある以上、魔力探知も切らさない。集中していれば、振りかぶる動きは感じ取れる――

フリーレン「っ」

 だが次の瞬間、フリーレンは右手に走った激痛に杖を取り落とした。

 手に直撃したのであろう、指先ほどの大きさの石礫が足下に転がる。

フリーレン(投擲の動きは感知できなかったのに――)

 どうやら折れているらしい右手を庇うフリーレン。その視界の端に敵の姿が映る。

 距離にして10mほど。そんな目と鼻の先といっていいような距離に、マントを頭からかぶった桃色の髪の少女が倒れた村人達に紛れるように伏し、こちらをじっと見つめていた
 ――握り込んだ小石を親指で弾き出した姿勢のままで。

フリーレン(……なるほど。指で弾くような小さな動作は感知しにくい。最初の投石は、私が魔力探知で投石の動きを感知できるかどうか試したんだな)


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