もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
1- 20
84:1[sage saga]
2024/11/01(金) 20:53:08.75 ID:4JAHijIv0
 
◇村の中

 フリーレンは民家の陰に隠れた敵が飛び出してくるのを待った。

 魔力探知に頼った曲射では家を壊してしまう可能性がある。村人達を生き埋めにするわけにはいかなかった。

 移動して射線を通せれば一番いいのだが、それも難しい。フリーレンは戦闘が始まってからほぼ不動を貫いているが、それには事情があった。

 桃から受けた不意打ちの一撃。あのダメージが多分に残っているのだ。動くと酷く傷み、集中を乱す。魔法の行使に支障をきたすほどに。飛行魔法を使っても同じだろう。

フリーレン(痛みが酷くなってる……内臓が傷ついたのかもしれない。早めに僧侶に見て貰わないと不味いな)
フリーレン(こっちが動けないことは……まあ気づかれただろうね。そうなると、次の行動は――)

 魔力探知にごく小さな反応。フリーレンは防御魔法を前面に大きく展開する。次の瞬間、何かが防御魔法に直撃し、鈍い音を立てて砕け散った。

フリーレン(やっぱり投石か。悪くない手だ。魔力の籠もってない攻撃は感知できないからね。狙いも正確だし、初手でこれをやられたら厄介だったかな)
フリーレン(けれどこいつの異常な身体能力の秘密は少し分かってきた。制限で魔力が増減するたびに身体能力が変化してる……)
フリーレン(どうやってかは分からないけど、こいつ、魔力で物理干渉力を押し上げてるんだ)

 <高速で移動する魔法>とは似ているようで違う。術式として成立しているのでは無く、まるで理自体が違うかのように、魔力を消費することでその分だけ身体能力が上昇するらしい。

 自身の知らぬ技に、研究者としての好奇心が疼く。今は不要なその心を宥め賺し、フリーレンは戦に意識を集中させた。

フリーレン(こいつの動きと体内の魔力の流れは密接に関係している。だから魔力探知に集中すれば、大きな予備動作は感じ取れる。投擲は全身を大きく動かす特徴的な挙動だ。まず見逃さない)
フリーレン(高速で移動しながら投げられたら少し厄介だけど、それなら家の陰から出てきた瞬間に足を撃ち抜くまでだ)

 勝負は早撃ちの形で決することになるだろう。フリーレンはそれを予感し、ゾルトラークの魔方陣を無数に展開する。

 だが敵の次の行動は予想していなかったものだった。

 再び魔力探知に反応。敵が隠れたまま投石を繰り返す。ただし、その方角は全てでたらめだった。

 フリーレンに掠りもしないどころか、明後日の方に飛んでいく始末。石が砕ける音が村のあちこちで響き渡る。

フリーレン(? どういうつもりで――)

 そんなフリーレンの疑問を解消したのは、敵が発した大音声によるものだった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
141Res/228.19 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice