もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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70:1[sage saga]
2024/11/01(金) 20:31:37.19 ID:4JAHijIv0
 
シュタルク「させっかよ!」

 唯一、その速度を見切ったシュタルクが動く。打ち出される桃の拳を横から戦斧の柄で弾き、結果として桃の拳打はフェルンの腰の辺りを掠めるに留まった。

 僅かに体勢を崩した魔法少女に向けて、シュタルクは続けて技を繰り出そうとするが――その動きが唐突に鈍る。

桃「こんな狭い結界の中で、そんな大きな得物は振りまわせないでしょ」

シュタルク「ちっ!」

 シュタルクが持ち手を変えようとするが、その頃には魔法少女が格闘戦の間合いに入り、一撃を繰り出していた。

 手加減無しの、人体を破壊できる威力を秘めた手刀。それがシュタルクの喉頭隆起――喉仏に直撃する。

 格闘技の覚えがある桃には、当然ながら人体急所についての知識もある。徒手空拳において狙うべきは、筋肉にも骨にも包まれていない"鍛えられない箇所"だ。

 喉頭隆起は脆い軟骨の重なりだ。その頼りない鎧で気道、頚椎、脊髄、頸動脈といった重要な器官を守っている急所中の急所である。
 
 軽く打っても呼吸困難を生じさせ、本気で打てば後遺症が残りかねない重篤な損傷を負わせられる。運が悪ければそのまま死ぬだろう。

 ましてやフィジカルに極振りした魔法少女の一撃である。並の人間やまぞくなら首がぽーんと飛んでいくレベルの攻撃だ。

 だから、桃は信じられないというように目を見開いた。

シュタルク「げほっ、げほっ……このヤロ……」

 瞳に映ったのは咳き込みはしているものの、こちらに敵意を向け続ける赤毛の姿。

桃(殺すつもりで打ったのに――打点がずれた?)

 疑念を置き去りに、続けざまに技を繰り出す。膝を鳩尾に入れ、足首を踵で踏み抜き、心臓に寸頸を入れ、下がった顎をつま先で打ち払う。

フェルン「シュタルク様――!」

 結界を張っている少女が悲痛な声を上げる。仲間が一方的に嬲られているように見えたのだろう。

 悲鳴を上げたいのはこちらの方だ、と桃は内心でほぞを嚙んだ。

シュタルク「――捕まえたぜ」

 がしり、とこちらの蹴り足を掴んでくる赤毛の顔は苦痛に歪んでこそいたが、明確な戦闘続行の意志を湛えている。

桃(ありえない。どんだけ頑丈なんだこいつ――!)

フリーレン「げほっ、げほっ……よくやった、シュタルク」

 焦る桃の背に、魔法が撃てるコンディションにまで回復したフリーレンが杖先を向ける。


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