もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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134:1[sage saga]
2024/11/01(金) 21:46:24.97 ID:4JAHijIv0
 
◇記憶消去前 モグサの村

エーデル「……おい、なんじゃこやつ。儂の精神操作魔法が通らんぞ」

ウガルル「んが?」

しおん「あー、やっぱり……ウガルルちゃんは発生の仕方からして特殊だもんねぇ」

エーデル「角の生えた小娘には通じたから、てっきりそっちの世界のまぞくとやらには通じるのかと思っていたが……」

しおん「シャミ子ちゃんに角が生えたのは最近で、それまでは普通の人として暮らしてたから……」

エーデル「どうするんじゃ。村人連中もフェルン1級魔法使いとその一行も、お主ら二人以外はみーんな記憶消した後じゃぞ。いまさら復旧しろとか言わぬじゃろうな」

しおん「平気平気、想定の範囲内……それよりシャミ子ちゃんや私たちの痕跡は全部消せたかな?」

エーデル「記憶から読み取れる範囲ではな。ただ完全には無理じゃぞ。今回は数が数ゆえ、どうしても斜め読みになる」
エー出る「強い想いが込められているようなものならともかく、本人が忘れているようなものや意識しないで残したものまで読み取っていたら時間が足らん」

しおん「えっと、記憶が蘇ると不味いんだけど……」

エーデル「その点においては大丈夫じゃ。小さな違和感くらいは残るかもしれんが、儂の記憶操作魔法を打ち破るような大きな痕跡は全て修正したからのう」
エーデル「残った小さな違和感も、やがては押し寄せる日常に紛れて消えるであろう」

しおん「なら良かったぁ……」

エーデル「で、お主の記憶は消さなくて良いのじゃったな?」

しおん「うん。私は帰りのナビゲートをしないといけないし、自分の記憶だけなら自前で消せるから……送還地点まで気絶したみんなを乗せた馬車の御者もやらなきゃだし……」

エーデル「よし、ならば儂らの仕事はここまでじゃな。お主らとフリーレンが魔力探知の範囲外に出たら儂らの記憶も消すから安心せい」

しおん「面倒をかけてごめんねぇ」

エーデル「なに、宮廷魔法使い様に貸しをつくれたのだから安いものよ。ではな。もう会うこともあるまいし、会ってもそれとわからんじゃろうが」

しおん「はい、さようなら〜……さて。ウガルルちゃん、お待たせぇ」

ウガルル「オレの記憶、消さなくテ大丈夫カ?」

しおん「消すにこしたことはないんだけどね……ただ前にも説明したけど、ウガルルちゃんって分類的には無機物なんだ。魂が無ければ"縁"の影響も最小限で済むから……」

ウガルル「難しイ話、よク分からなイ!」

しおん「じゃあこれからの予定を簡単に分かりやすく説明するけど、次元連結膜に開けられた穴としての召喚ルートを正確に逆行して擬似的な時間遡行をするよぉ。これは本当に時間を遡るわけじゃ無くて、状況を変化させることでタイムトラベルの結果をそれっぽく再現するんだ。この世界の一週間が向こうの20分くらいに相当するみたいだから時間の齟齬はクリアできる。向こうに戻ったら精神操作魔法で気を失ってるみんなを元の部屋に配置するよ。異世界召喚を完全に無かったことにしなきゃいけないからね。幸いだったのは桃ちゃんの古傷だね。シャミ子ちゃんの杖で傷は全部治ったけど、シャミ子ちゃんの思う桃ちゃんの全盛期、つまり異世界に召喚される前の桃ちゃんの状態に復元したから古傷は残った。消えてたら言い訳が大変だったよぉ。あとは清子さんと良ちゃんが起きてると不味いけど揮発性の睡眠剤を部屋に置いてきてたからちょっとやそっとじゃ起きないはず。あ、ドアの鍵も壊れてるけど、すぎこしの結界がまだかろうじて機能してるから泥棒さんとかは大丈夫だし鍵の交換くらいなら――」

ウガルル「!? !?」

しおん「あはは、ごめんごめん。とにかくウガルルちゃんにはその都度指示をだすからよろしくねぇ」

ウガルル「仕事任されタ! じゃア行くカ?」

しおん「その前に、ウガルルちゃんの持ってるその袋はなあに? 異世界のもの持って帰っちゃ駄目だよ?」

ウガルル「木の実! ボスのこト世話してくれてタ奴ガ集めてタ!」

しおん「ああ、アソリちゃんが……お別れのプレゼントのつもりだったのかな。そういえば森によく行ってたっけ。けど、なんでそれウガルルちゃんが持ってるの?」

ウガルル「さっきノ奴がくれタ」

しおん「エーデルさんが?」

ウガルル「んがっ。こレ、ボスとノ友情ガ詰まってル。だかラこっち残ってるトいけないっテ」

しおん「ああそっか。これがさっき言ってた"大きな痕跡"のひとつなんだ。アソリちゃんにとって、シャミ子ちゃんがどれだけ大切だったかっていう証拠のひとつ……」

しおん「で、ウガルルちゃんはこれをどうするつもりだったの? たまには柑橘類以外も食べたかった?」

ウガルル「別ニ柑橘モ嫌いジャ無いゾ。肉とハ合わなイけド……ボスニ渡すつもりだっタ。だめカ?」

しおん「うーん……まあ大丈夫かな。これが残ってると不味いって言うのは、アソリちゃんにとっての話だからね」
しおん「ウガルルちゃんが異世界のことを話さないのが大前提だけど、シャミ子ちゃんにとってはただの木の実だし……これ自体は私たちの世界にもある品種だしね」

しおん「むしろ問題って言うなら、ミカンちゃんが行方を把握できないレベルで柑橘類をばらまいたことの方が……」

ウガルル「……オレ後半何モ聞かなかっタ。それじゃあコレ、帰ったらボスに渡すゾ!」



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