4:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/28(土) 23:01:45.75 ID:zmZjuACE0
「…それで、今日私を呼んだ本題なんだけど」
「そうじゃったな。内密の話じゃ…」
キサキはさらに先生の耳にくっつくほどに近づいて、小さな声で言った。
「さみしくなっての…」
「…えっ?」
「門主という立場は難儀なものじゃのう。先生にはもう、事情がわかると思うが」
「あっ、えっ、まあ…うん」
「先生なら、これまでの会話だけでも察してくれていたやもしれぬな?妾の真意に」
「ん?」
「言葉にすることは簡単じゃが、細心の注意を払わねばならん。人の口を経るごとに、その重みは増していく。ましてや、妾ほどの立場ともなると、一挙手一投足を注目されておる」
「はぁ…」
「なれば、うかうかと弱音一つこぼすこともできぬ。だからといって、誰もおらぬ私室で独り言をこぼしたとて、かえって毒になりかねん」
「はい…」
「大事なことじゃ。そうは思わんか?忙しくて返信が滞りがちな先生?」
「うっ…ごめん」
「冗談じゃ…が、さて、妾の真意を聞いた其方は、何をしてくれるかのう?」
喋るたびに熱い吐息が耳にかかる。
部屋は香薬で満たされていて、体の奥にまで染み渡っていくようだった。キサキが常用している香りだ。
キサキが先生の腕を抱きしめ、華奢で柔らかな体の重みが伝わってきていた。
「先生は妾のことを大事にしてくれるからのう…」
「うん…そうだね…」
「楽しみじゃ」
ベッドがきしむ。
キサキが手をついて、体を乗り出していた。
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