4:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:45:29.06 ID:49voo3/L0
翌日。一学期の最終日。
今日は終業式をした後、学活や大掃除をこなすだけで終わり、晴れて夏休みとなる。勉強のことは何も考えずにぼーっとしていればいい気楽な一日。
一晩眠ったことで昨日のケンカのことをだいぶ消化できたーーもとい、なんで怒っていたのかも忘れかけていた櫻子は、家を出て珍しく自分より先に待ち合わせ場所に立っていた向日葵を見て、少しだけ昨日の気まずさを思い出した。向日葵の表情はどことなく険しく、自分と違ってまだまだ昨日のことを強く引きずっているようだった。
「遅いですわ」
ツンと突き刺さるように放たれたその一言だけで、櫻子は一瞬でムっとした気持ちになり、二人の間にピリついた空気が漂う。
「いつも通りでしょ。普段は自分の方が遅いくせに」
「あなた、昨日言った復習はしたんでしょうね」
「……え?」
歩き出しながら言われ、櫻子は一瞬何のことかわからなかったが、だんだんと昨日のケンカのときに言われたお小言を思い出してきた。
端的に言えば、向日葵にさんざん忠告されていたのに、期末テストの点数が悪かった件について怒られていたのだ。ここができないとこれから先の授業にもついていけなくなってしまうから、わからなかったところを全部復習するようにと言われ、嫌そうな顔をしていたら向日葵の積もりに積もった不満が爆発してしまった。
当然、昨日はもやもやの消化にすべてのリソースを使ってしまっていたので、復習なんてしていない。夏休みの宿題に早いうちから手を付けちゃいなさいとも言われていたけれど、もちろんやっていない。
「復習」と言われ、何のことだっけと一瞬考えてから、だんだんと「……ああ!」と思い出していく櫻子の一連の表情を見て、向日葵の燃え殻に再び火がついてしまった。
「その顔……あれだけ言ったのに、何もしてませんわね!?」
「え、いや」
「復習どころか宿題も! というか配られたプリントや教科書を入れ替えることすらしてないでしょう! 昨日とカバンの厚みが全然変わってませんわよ! 今日授業ないのにパンパンじゃないの!」
「そ、それは!」
「さすがに何かしてると思ったのに! どうせ何もかも忘れて遊び呆けて、そのまま寝ちゃったんでしょう!?」
朝からすごい剣幕になってずんずんと指で胸を突いてくる向日葵に気圧されるものの、昨日は自分なりに落ち込んでいただけで遊んでいたわけではないという部分について反発したくなり、急激にイライラが募っていくのを感じ始めたとき、昨日何をしていたのかを思い出した。
なぜかひたすら、6秒を数えていた気がする。
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