305: ◆b0/EDFEyC136[saga]
2024/10/14(月) 23:19:57.40 ID:Nw/DCeu30
パピヨン「……ねえ、お兄さん」
『ん、どうした――』
パピヨンが静かに立ち上がって、何も言わずにスタスタとこちらに向かって歩いてきて……ぎゅっ、と抱き着いてきた。
自分の胸に顔を埋め、静かに抱きしめる力を強めてくる。
『……』
パピヨン「…………ん、ありがと。最後に充電したかったんだ〜……えへ」
埋めていた顔を上げて、上目遣いでにや〜っと笑う。すりすりと尻尾が脚に絡みついてきて擽ったい。彼女がこうやって尻尾を脚に絡ませてくるときは大抵、甘えたかったり心がちょっと不安定だったりするときだ。最近気づいたことだが。
『……不安か、やっぱり』
パピヨン「……そりゃね、色んな人と約束しちゃったから」
ステラライムとはどちらがダート最強か決めると約束し、ブラックマンティスとは最強となって立ちはだかると約束を、そしてグリーンシルフィーの分まで今回のレースを走り、勝利をすると約束をして。
沢山の約束があった、つまりそれだけパピヨンには――期待をされている。約束を果たしてほしいと、色んなウマ娘の想いが乗りかかっている。
パピヨン「沢山走って色んな人からそういうの貰ってるから、ちょっとは慣れたっちゃ慣れたけど……まだまだ怖いし、不安なんだよね」
『……ああ、そうだな』
パピヨン「勿論、そういうのからはもう逃げないって決めたけど……逃げないために、ちょっとだけ。お兄さんのことを補充したいな〜って、お兄さんパワーをアタシに吸わせろ〜って感じで」
なんなんだお兄さんパワーって、とは思いながら……要するにハグをして心を落ち着かせてレースに行きたいということだろう。
…………自分の両腕を、彼女の背中に回す。
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