20: ◆b0/EDFEyC136[saga]
2024/08/12(月) 19:08:35.89 ID:92/7nx8r0
――――ドバイ、メイダンレース場。控室。
『……どうだ、コンディションのほうは』
控室でパピヨンに言葉をかける。
ダボっとした一枚パーカー、黒のダメージソックス、ヒトではまともに走ることすらできないようなピンヒールブーツ。なんだか見てるだけでハラハラしてしまいそうな、心配したくなるような勝負服を身に纏ったパピヨン。
……パピヨンが、口を開く。
パピヨン「――うん、絶好調。ドバイのコースでも練習してたけど別に違和感とかもなかったし……というか、それはお兄さんが一番よく知ってるよね」
思えば飛行機を降りてドバイの地に立ち、ホテルなどに荷物を置いてから――ずっと今日までドバイのコースになれるために練習の毎日だった。
結論から言うと――パピヨンは十分ドバイの地でも走れるということが分かった。日本のダートとも遜色変わらない走りを見せつけ、にやりと笑うパピヨンの顔が今でも忘れられない。
――だとすれば後は自分が頑張るしかない。初めての海外による時差ボケも生活習慣も、食生活も、アウェーのこの空気に負けないサポートも――全部やり切って、パピヨンを舞台に立たせるだけだ。
そして今、自分とパピヨンはここにいる――。
パピヨン「今日までお兄さんほんっと過保護かって思うくらい色々してくれたよね。いつも通り我儘言っても全部対応してくれたし」
『そりゃ、それをやるのがキミのトレーナーだからな』
パピヨン「ぷぷ、お兄さんアタシのこと大好き過ぎるでしょ〜!」
『……好きじゃなかったらここまでしないさ』
パピヨン「……!っ……すー……っ……。ふっ、ふぅ、へぇ……ま、まあ。そ、そりゃそうだよね〜!ぷ、ぷはははは!!!」
……と、というかこんな話はどうでもいいの!お兄さんのキモい言動もそこまでにして!
顔を真っ赤にしながらぷんぷん怒り出すパピヨン。
パピヨン「はぁ……こんな大舞台でちょっと緊張してたのに、お兄さんのせいで緊張もどっか行っちゃった」
『そ、そうか……ならよかった。キミが緊張で実力を発揮できないとか言われたら困ってしまうからな』
パピヨン「言っとくけど良い意味で言ってないからね。アタシ以外のウマ娘にそんな言動したら普通に嫌われるし、通報とかされるからね!」
『……分かってるよ』
この前もこんなことを言われたような気がする、しかしそれならこっちにも言いたいことがある。パピヨンの我儘な言動は他の人にやると迷惑がかかるから自分以外にやらないでほしい――が、これは今言うことではないな。
……こんなやり取りができるなら、本当にパピヨンは大丈夫そうだな。
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