192: ◆b0/EDFEyC136[saga]
2024/09/25(水) 01:06:01.66 ID:4sxshuEX0
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ライム「ふっ、ふっ……はぁ。やっぱりパピヨンさんは優しいですね」
パピヨン「うっさい。静かに走って」
あまりにも五月蠅かったから少しだけライムと走ることにした、といっても寝る前の簡単な運動みたいなもので、トレーニングとは言えないものだった。
真横から嬉しそうなライムの視線を感じる……ええい見るな見るな!
ライム「ふふっ……はは」
パピヨン「…………」
海の音、風の音、砂浜を駆ける音。
この音に加えてお互いの呼吸が聞こえてくる。何も喋ってはいないはずなのに、なんだか言葉を交わすよりも相手のことを知ることができている気がする。
――思えば、ドバイに行くちょっと前の日もこんな風に走ったっけ。いや、あの時はもっと本番って感じだったっけ。
ライム「………………ドバイのレースを見たとき、私。実はちょっとだけ泣いちゃったんですよ」
パピヨン「へっ?」
急に何を言い出すんだろうこの人は、しかしライムは続けて話す。
ライム「あまりにも綺麗で、あまりにも清々しくて、あまりにも……楽しそうで。あの日の貴女の走りを見た瞬間、体全身にゾクゾクと鳥肌が立って、なぜだか涙が零れてしまって」
と言ってすぐにその涙は止まったんです。そのおかげでシルフィーさんにはバレませんでしたけど……と、ライムは語る。
……少し、速くなる。
ライム「よく美術品を見たり、オーケストラを聞いて泣いてしまうというじゃないですか。多分、あの時のパピヨンさんの走りは……それと同じなんです」
パピヨン「な、なになに?いきなりそんな……ほ、褒めてるんだよね?」
勿論です!本当にすごくて、感動して――。
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