9:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:24:24.79 ID:HdnryJIo0
10分ほど待っただろうか。ついに、その時がやって来た。
裏口から出てきた菜々さんに、俺は素早く走り寄った。
「菜々さんお疲れ様です」
「あっ、〇〇さん!お疲れ様です!」
「菜々さん、僕とけっ____」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:26:04.85 ID:HdnryJIo0
「あっ、ウサミンだ!可愛い〜!!」
「すんげえなあ。またテレビ出てるよ。飛ぶ鳥を落とす勢いってのは、こういうことを言うんだな〜」
あれから2年の月日が流れた。
今や、彼女はその名をメディアで見ない日は無い、押しも押されもせぬ大アイドルだ。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:28:55.73 ID:HdnryJIo0
「う〜飲み過ぎた・・・オエッ」
今日、俺は一体何杯呑んだのだろうか。
そんな、簡単な事すら分からなくなるほど呑んだ俺は、最早歩くことさえままならず、道ばたに座り込む。
家はまだ遙かに遠く、無事に帰り着くことなど、土台無理な話である。
目を閉じれば、涼しい夜風が、酒で火照った体をそっと冷ましていく。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:30:15.37 ID:HdnryJIo0
翌朝、目が覚めるとそこには、つい2年前までよく眺めていた天井があった。
どうやら、昨晩のことは、都合の良い夢ではなかったらしい。
「〇〇さん、起きたんですか?」
「あっ・・・おはようございます・・・菜々さん。昨日は、ご迷惑をおかけしました・・・」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:31:37.30 ID:HdnryJIo0
「なんで、2年も連絡してくれなかったんですか」
「それは・・・」
「菜々は、そんなに強い人間じゃありません。
上手く行かなくて、不安に押しつぶされそうになる日も、失敗しちゃって、枕を濡らした日も、沢山ありました。
そんなときに、〇〇さんの声が聞けたなら、どれだけ救われたことか!」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:33:26.52 ID:HdnryJIo0
「あの日、菜々さんがスカウトされた日。俺は、あなたにプロポーズしようとしていたんです。
実家に帰ってほしくなかったから。ずっと、側に居てほしかったから・・・」
「でも、菜々さんは、見事スカウトされて、メジャーデビューを果たしました。
そうなると、俺のこの気持ちが、菜々さんの邪魔になってしまうことは、火を見るより明らかでした。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:34:40.65 ID:HdnryJIo0
「菜々さん、僕はずっと、自分の気持ちから逃げ続けてきました。
それでも、あなたがこうして目の前に居る今だから、あの日、言えなかった言葉を、言おうと思います。」
「菜々さん、僕と結婚してください」
・・・言ってしまった。この告白の答えなんて、わかりきっている。茶番もいいところだ。
16:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:36:08.50 ID:HdnryJIo0
―――1ヶ月後
「菜々さん、遅れてごめんなさい」
「ああっ!やっと来ましたね。遅いですよ、もう!」
「ごめんなさい、ちょっと道が混んでて・・・」
「誰かに、尾行されたりしてないですよね?」
17:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/15(月) 21:36:43.28 ID:HdnryJIo0
終わりです。ご精読ありがとうございました!
18:名無しNIPPER[sage]
2024/04/15(月) 23:07:24.70 ID:dtAyXDgQo
おつおつ
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