剣聖が鍛冶屋を営むようです
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75:名無しNIPPER[saga]
2024/03/03(日) 15:40:35.01 ID:815JB7LXO
「で、では…。私たちが採用されないような余程のことって、なんですか…?」

おずおずと手を挙げそんな質問をしてきたのは、身体が小さければ気も小さい、内気な少女【モニカ】だった。
彼女の書類を読むのには苦労した。なんせ、ぐにゃぐにゃとした汚い筆跡な上に無駄に小さな文字であれこれ書かれていたのだから、解読に苦労するのは当たり前の話だ。
彼女が記載した来歴を鵜呑みにするなら、独学で文字の読み書きを覚えたのだと推測できる。頑張った方だと褒めてやりたいくらいだ。

採用されないような余程のこと。それは、言ってしまえば単純なものだ。採用する価値が無い、と自分に思わせることだ。
正直に言うと、あまりにも濃密な思春期を過ごしたことで自分の評価基準はガバガバのユルユルである。多少やんちゃした程度なら平気でスルーする。減点するまでもない。
とりあえず彼女たちに言えることは、公序良俗に反しなければセーフというくらいか。

「それってわざわざ言う必要ありますの!?」

ある。失格条件を伏せたまま試験を始める馬鹿がどこにいるというのだ。ステラは真剣な表情で首を傾げた。

「え、なんですかその眼は…。私間違ったこと言ってませんよね…?法律に背くなんてこと、普通の人はしませんわよ?」

普通の人はしないだろう。そんなことをするまでもなく充実した生活を送っているのだから。
なら普通でない人はどうだろうか。生きるために手を汚す。汚さざるを得ない人がいるのは、彼女だって考えれば分かるはずだ。そこまでおつむが弱いわけではあるまい。

「…つまり。そういった…所謂訳ありの方々でも貴方は採用する…ということですわね?」

程度にもよるが、概ねそのつもりである。ステラはサンドラの言に首肯で返す。視界の端で、モニカが安堵したような気がした。


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