4:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 17:59:15.23 ID:iDj+Sx/LO
プルガトルスと交戦したのは、目的地である商業都市【コンスティア】を目視できる渓流地帯だ。
溶岩が流れ、熱気が立ち込める灼熱を好むプルガトルスが、このような場所に移り住む話なぞ聞いたことがない。
まあ、なんにせよ。死人が出ずに済んでよかった。本当によかった。
安堵のため息を漏らし、ジュースを一息に飲み干した。
5:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 17:59:55.60 ID:m27i/Y6WO
「おい。そこのあんた。あんただよおい。おーーい」
どこからともなく聞こえていた声が自分に向けられていることに気付き、口笛を中断して馬車を見上げる。
馬車から身を乗り出している商人は、ヒラヒラと手を振っていた。こちらも軽く会釈して答えておく。
6:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:00:25.86 ID:93RaqKjJO
「ふむ。何やら込み入った事情がありそうだな。ここから先は訊かないでおくよ」
既に割り切ったことなので多少踏み込まれても気にしないのだが、商人の気遣いに感謝の言葉を返しておく。
商人と世間話をしていると、コンスティアの入り口である関所に到達した。
7:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:01:17.83 ID:4clhkh6FO
関所で軽く審査を受けたステラは、ギルド職員にプルガトルスの処理を押し付けようと画策する。こんな重い荷物はさっさと手放すに限るのだ。
しかし、事がそう恙なく進むことはなく。ステラは目の前の光景にげんなりとしていた。
「ロードレア様ー!サインくださいー!!!」
「馬鹿お前抜け駆けすんな、順番待ちがいるんだぞ!」
8:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:01:56.07 ID:wuspat3CO
ギルド内で発生した珍事はさておき、プルガトルスの換金を済ませたステラは、新居を購入するために不動産屋を訪れていた。
防犯の観点も鑑みて、店舗と自宅は併設する予定である。どうせ自分の荷物はそこまで無いのだから、多少狭かろうが問題は無いだろう。
「いらっしゃいませー!うちの物件はどれもオススメでございますですよー!!」
9:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:02:47.83 ID:843Pa2IsO
「ふむふむ。店開きをしたくて物件探しをしている…と。お住まいはどちらに…あ、お店に住む予定なんですね。ちなみにどういったお店を開くご予定で?…なるほど鍛冶屋ですか。となると設備を整える必要もありますね。お客様に伝手はおありです?」
首を横に振って答える。コンスティアに来たのは今回が初めてだ。友人や仕事仲間がここに住んでいるとは聞いていない。
「かしこまりました!早速物件を下見に行きましょうか!予算の方も充分余裕があるみたいなので、時間がありましたら職人さんと話し合いの席を設けますよ」
10:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:03:39.43 ID:W219Lw0MO
店員に連れられ内郭区を歩くこと数分。人混みで溢れた大通りに繋がる脇道に二人はいた。
大通りほどの交通量は無いが、この脇道の交通量も中々のものである。人知れない名店があったりするのだろうか。
しかし、移動中にパンの焼ける良い匂いがしていたので空腹感が強まってしまった。
時計を見ると時刻は午後二時。昼飯には少し遅いが、食事をしてもいい時間だろう。物件探しが終わったら軽食でもつまむとしよう。
11:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:04:10.34 ID:sXZOOHcXO
なるほど。つまりは事故物件か。ステラの率直な感想に、店員は気まずそうに目を逸らした。
「…まーそういうことになりますかね?ここでお亡くなりになったわけじゃないのでそこまで言われたくはないと言いますか…。それに、遺体は見つかってないのでどこかで生きながらえてるかもしれませんし?」
困り顔で笑う店員を尻目に、内部の設備を確認する。金床や炉、鞴といった設備は完備されている。
12:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:05:12.43 ID:FlPArUl3O
undefined
13:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:05:48.70 ID:FlPArUl3O
先払いで賃貸料を支払ったステラは、速い安い美味いのキャッチコピーの意味を身をもって思い知らされていた。
こんな大きな買い物が即日契約で終わるなど正直普通とは思えない。先払いで即金払いしたのが余程効いたのだろうか。
そんなことを思いながら、肉汁たっぷりハンバーガーを頬張る。店員はさっさと帰ってしまったので、腹を満たすために食べ歩きの最中である。
商品が全て売り切れたのだろう。気になっていたパン屋は既に閉店していた。
14:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:06:24.00 ID:FlPArUl3O
軽食を済ませたステラはゴミ箱に包み紙を放り込み、気ままに内郭区を散策する。
これから世話になる街だ。何があるか知っておくに越したことはない、と。
とりあえずは一年、この街で商売をして今後の展望を考える予定だ。
軌道に乗るならそれで良し。乗らずに店を畳まざるを得ない状況になったなら、親孝行はここまでだと冒険者稼業に専念する。
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