剣聖が鍛冶屋を営むようです
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11:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 18:04:10.34 ID:sXZOOHcXO
なるほど。つまりは事故物件か。ステラの率直な感想に、店員は気まずそうに目を逸らした。

「…まーそういうことになりますかね?ここでお亡くなりになったわけじゃないのでそこまで言われたくはないと言いますか…。それに、遺体は見つかってないのでどこかで生きながらえてるかもしれませんし?」

困り顔で笑う店員を尻目に、内部の設備を確認する。金床や炉、鞴といった設備は完備されている。
店は二階建てになっており、二階に上がってみるとそちらはキッチンやベランダ、寝室や浴室と必要なものは一通り揃っていた。
空き部屋も一つあったので、何かしらに利用できそうだ。

「それで…えと、お客様のご希望通り、こちらを一年借用する場合は賃料として3000万コル必要になります。事故などで物件が損壊した場合はさらに料金をいただく予定ですが構いませんか?」

大丈夫だ、問題ない。ステラはペンで誓約書に名前を記入した。契約内容にはしっかり目を通しているので無問題である。

「やった、契約ゲット…!」

小さくガッツポーズをする店員に苦笑いしながら、使われた痕跡の少ない金床を撫でる。
オススメされた物件が鍛冶屋だったとは何の偶然か。親父たちの加護でもあったのだろうか。
不慮の事故により店仕舞いとなり、その役目を果たせなかった哀れな金床たち。
彼らが再び使われる日は、近い。


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