クラスの変わり者が揉め事を起こして始まる一次創作
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69:名無しNIPPER[saga]
2023/11/17(金) 00:07:39.70 ID:7O3upq/LO
「田中。ちょっと話がある」
「え? なんだ山田か。なに? 僕は今、有栖川と楽しくお喋りするのに忙しいんだけど?」
なんだとはなんだ。イラつくけどぐっと堪える。有栖川がキョトンと首を傾げて見てる。
肩に流れる髪から漂う香りが、さっきの馬鹿男子どもの下品な香水の臭いを消していた。
「あの日……あたしは、間違っていた」
「あの日っていつのこと?」
「おとこおんなって言って……ごめん」
敗北の屈辱。屈服の恥辱。今日を忘れない。
「あの日、あんたが言った言葉の意味がようやくわかった。大事なのは対象なんでしょ」
「ふふふ。気づくの遅いけど、よかったね」
目を背けていた。気づかないふりをしてた。
『どっちでもいいとかきしょいですねって』
あの日、田中はそう言った。たしかに、きしょいと思う。対象を指定していないからだ。
その意味がようやくわかる。大きな一歩だ。
「田中、なんの話?」
「僕は有栖川のことが好きで、有栖川は僕のことが好きってこと。ただそれだけの話さ」
「なんだ。そんなの当たり前のことじゃん」
当たり前の事実に、ようやく気づけたのだ。
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