クラスの変わり者が揉め事を起こして始まる一次創作
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60:名無しNIPPER[saga]
2023/11/16(木) 00:22:28.76 ID:uxBB7sXNO
「は? あんた誰?」
「あの人は有栖川さんの家の人だよ」

山田の誰何に私が答えた。あの人のせいでこうなったとは言わない。ただ私は、あの人と話してみたい。話さなくてはならなかった。

「カヤと申します。以後、お見知りおきを」

以前、近所の中学生を金で雇い、嫌がらせ目的で有栖川さんと待ち合わせしていた田中に差し向けたことがあった。そこに現れたのがこのカヤと名乗る使用人。間違いなかった。

「橋の上はお寒いのでどうぞお乗り下さい」

山田が目でどうするか訊ねてきたので私は頷いて、車に乗り込んだ。不思議と怯まなかった。それは山田と一緒だからかもしれない。
音もなく発進する車。静かな車内で訊ねる。

「カヤさんはどうして停車したんですか?」
「本日、お嬢様がお弁当をお忘れになったので、それを学校まで届けた帰りにたまたまご学友と思しきおふたりを見かけて、もしも何かお困りのようなら手助けをしようと思い至り、失礼ながら声を掛けさせて頂きました」
「それは嘘ですよね……カヤの姐御さん?」

バックミラー越しに見つめると、すっと目を細めてカヤの姐御さんは、上品に微笑んだ。
ぞくりとした。震える手を、山田が握った。

「おい。あんた、佐竹になんかしたのか?」
「あたしが? 身に覚えはねーな。そっちのほうはあるみたいだけどな。なあ佐竹のガキ」
「わ、私は……ただ田中が嫌いだったから」

震える声で、そう絞り出すと、嘲笑された。

「その結果がそのザマかよ。ざまあみろとはこのことだな。田中様はもう有栖川家の庇護下にある。今後一切、手出し無用だかんな」

念入りに釘を刺されて敗北感が身に染みる。


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