【FGO/SS】本当はあったFGOハロウィン2023
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名無しNIPPER
[saga]
2023/12/13(水) 11:32:45.31 ID:F/QFizm10
雨風が酷く激しく降りしきり、高波が今にも両軍の船を覆うように押し寄せてくる。
対馬と壱岐に侵攻し、それらの軍勢を壊滅に追いやった、血も涙もなくただひたすらに暴虐を繰り返す蒙古の軍の艦隊。
蒙古の侵略から命をかけ、日の本とその本土に住まう民を守る為に先陣に向かった味方の水軍の船。
多勢の蒙古を相手に味方の水軍もまた、対馬と壱岐と同じように壊滅の危機に追いやられ、本土への侵攻を許してしまうのではないかと思われていた。
しかして突如として日は雲に覆われ、雨風や高波が両軍を襲い、戦況は混沌と困難の渦に飲み込まれた。
この頃、62の齢だった私はご老体の身でも構わず日の本を守る為に多くの軍勢を率いて天草から出陣した。
そしてこの神風とも呼べる嵐の海の戦況に我慢ならず、味方の水軍を乗せた4隻の船を率いて先陣をきった味方の水軍の援護に向かった。
そして私は兵と共に蒙古の船に乗り込み、敵である蒙古の兵士を‥数多くの蒙古の者らを無我夢中で倒していった。
この神風もまた、我らに日の本の勝利を導かんとする神の加護である事を信じて私は戦った。――――しかし・・・
―――――――――――――――――――――――――――
蒙古軍の船上にて・・・
ガキンガキンガキンッ!ジャキンジャキン!ザバザバァァ〜〜ン!ドバァァ〜〜ン!
生前の播磨局「怯むな!敵の勢力は確実に弱まっている。このまま敵を打ち倒せぇぇ!」
オォォォォォォ〜〜〜〜!
生前の播磨局「・・・・・・!?」
ザザァァ〜〜ン!ザァァ〜〜ン!!ドバァァ〜〜ン!!!
溺れている蒙古の兵たち「――――――――!!」
波にのまれていく味方の兵士たち「助けてくれ〜〜〜!誰か助け―――」
ザバァァァ〜〜ン!ドバァァァ〜〜〜ン!
生前の播磨局「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
――――――――――――――――――――――――――
事情もあって、自身の血を引く子供などいなかった私は、甥の子である種益を養子として彼を自身の家督を継いでもらっている。
彼を養子にする辺り、種益には自分の子と同じような愛情を注いだ。女の身でも土地と家督を継げた時代‥私は養子とした種益を我が子として、家族として彼を迎えてあげた。
我らを待つ愛する家族の為、土地に住まう民のため、祖国である日の本の守る為、いずれ死にゆく老体の自分を励まし、これらを全て守り通すために私は戦っていた・・・
故に嵐の海に落ち、高波に飲み込まれて死にゆく蒙古の兵たちも、味方の兵士たちにもまた、彼らを待つ家族がいるのではないのかと・・・
神風とはいえ、敵も味方も関係なく声を上げていく兵士たちの悲鳴と助けを求める叫びと共にその者たちは神風によって荒れ狂う神の中へと消えていき、
今もあの者たちの呪いの叫びのように波の音共に私の耳の内に聞こえてくるのだ・・・・・・
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