日向「安価とコンマで依頼を解決する」七海「その2だって」
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701: ◆DWp3lSnh.v3L[saga]
2023/09/28(木) 21:03:17.66 ID:anMNCOuZ0


……さて、それは様々なアトラクションで目一杯遊び回り、丁度昼休憩を終えた少し後の事だった。


終里「……あん? おい日向。ソニアと田中はどこ行ったよ」

日向「……あれ?」

終里に言われて辺りを見渡して見るが、確かにソニアと田中の姿がどこにも見えない。あいつら二人だけでどこ行ったんだ──あー、これもしかしてアレか? これがかの有名な「自分達だけコッソリと抜け出s」


スタッフ「た、大変だー!!」

俺が下世話な考えを巡らせていると、園内のスタッフであろうその男性が、慌てたようにこちらに走ってくるのが見えた。何だ? 一体何があったっていうんだ?


日向「ど、どうしたんですか? そんなに慌てて……」

スタッフ「せ、戦慄迷宮が……戦慄迷宮が……!!」

終里「あ? 戦慄迷宮?」

スタッフさんの言っている「戦慄迷宮」とは、富士○アイランドが誇る超有名アトラクションの一つだ。
幾度となく進化を遂げ、幾重もの観光客達に恐怖を与えてきた世界最大級のホラーアトラクション。歩行距離はなんと約900m。つい最近リメイクされ、「朽ち果てた霊安室」「血まみれの医療リネン室」などの悍ましい部屋が新たに登場し。「富士の裾野に佇む閉鎖された慈急総合病院」を舞台に繰り広げられる、世界一怖い「お化け屋敷」

一体どれほどの物かと、「そろそろ挑戦してみないか」ってソニア達に提案してみようと丁度思っていた頃だ。……その戦慄迷宮が一体どうしたって──



スタッフ「ふ、不死者の王(グランド・リッチー)・田中・ビンセント・パイクに乗っ取られたんです!!」



日向「…………」

終里「…………なぁ日向。もしかしてこいつバカなのか? それとも熱中症って奴で頭が茹だっちまってんのか?」

俺も一瞬そう思わないこともなかったが、いつの間にか離脱していたソニアと田中のことを考えると……。何故だろう。何をどう考えても嫌な予感しかしな──


『ふはははははははははははははははは!!』


突如として園内スピーカーから聞えてきた思いっきり聞き覚えのあるその声に終里は混乱したような表情をし、一方で大体の事情が察せた俺は顔を思いっきり顰めた。


田中・ビンセント・パイク『我が名は偉大なる不死者(アンデット)共を統べる王! グランドリッチー、田中・ビンセント・パイクなり!!』

……この場に左右田がいないことが非情に悔やまれる。何故か。これから始まる壮大な茶番劇へのツッコミを、俺一人でやらなくてはならないからだ。
……お前氷の覇王じゃなかったのかよ! いや百歩譲ってそこは良いとしても何だよ「田中・ビンセント・パイク」って!!? それ某超有名アニメシリーズに出てくる強襲揚陸艦の艦長の名前だろ!? ……何故かこれ以上なくシックリ来るのが余計にムカつくんだけど。

俺の内なるツッコミを完全にスルーして、田中・ビンセント・パイクとやらは喋り続ける。


田中・ビンセント・パイク『この富士が見下ろす遊戯の国は我らアンデットの一族が乗っ取った!! そして! 今からこの異国の美しき姫君、ソニア・シャルロット・ディオールを冥界への贄とし、この日の元を本物の地獄で充たしてくれるわ!!』

ソニア・シャルロット・ディオール『クッ……! いえ、きっと貴方の思い通りにはなりませんわ田中さん! きっと我が国に伝わる伝説の勇者様が私を助けに来てくれるはずです!!』

田中・ビンセント・パイク『ククククク……! そんな奇跡とも呼べる未来がやって来る事などありはせんわ!! …………だが、そうだな……。もしも! 万が一!! そんな勇者(特異点)とも呼べる人物が今偶然にもこの遊戯の国にいるというのなら!!! 我が魔改造した『戦慄迷宮』までやって来るが良い!! ククク……ふはーはっはっはっはっ!!』

それを最後に、園内スピーカーの放送は途絶えた。……「帰りたい」そんな気持ちが俺の脳内と心を完全に支配する。いやだってこれ絶対面倒臭い奴じゃん……。ソニアと田中が組んで(本人達視点で)面白そうな事をしでかそうとしてるだけじゃん……。


終里「あー……どする日向。オレは放置して帰るに一票入れてぇんだが」

日向「それに賛成d『あー! ちなみにこの遊戯の国の出入り口は全て我が魔術で封鎖させてもらった!! グランドリッチーから逃げることなど出来ると思うなよ、脆弱な人間共よ!!』……賛成、したかったなぁ……」




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