39:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:31:58.41 ID:sZTlet6c0
王女『その本、賢者の残した考察だ! 図書館から持ち出したらいけないなやつ!』
王子『……いいだろ、別に。こんな機会じゃなきゃ落ち着いて読めないんだから』ハァー
王女『危険なものもあるから子供だけで読んだらいけないんだよ?』
王子『大丈夫だよ。そんなの、大人のざれごとだ』
王女『ふーん……』ジー
40:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:32:26.68 ID:sZTlet6c0
王子『はぁ? 嫌だよ。僕が読んでるのに』
王女『口止め料』
王子『え?』
王女『わたしにも読ませてくれたら、お母さんとお父さんには本を持ち出したこと黙っておく』
王子『……勝手にしろ』ハァー
41:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:33:09.25 ID:sZTlet6c0
王女『んー。呪文の考察、マギカの正体について、魔法の原理とその可能性。どれにしようかなー』
王子『さっさと選べ』
王女『あっ、これ面白そうっ。この本に決めた!』
王子『読むときは静かにな』
王女『分かってる。えーっと、なになに? 莫大なマギカの衝突におけるワームホールの発生について』
42:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:34:54.56 ID:sZTlet6c0
王子『ああ。大人でも理解できる人がいなくて、理論すら賢者本人しか理解してないってレベル』
王女『へー』
王子『だからやめとけ。もっと易しいやつがあるから』
王女『いや、これにする。第一印象でピーンときたから』
王子『……そうかい。まっ、勝手にしろ』
43:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:35:23.02 ID:sZTlet6c0
王女『えーっと、なになに? はじめに、この本を読んでいる君に告ぐ』
王子『……声に出して読むな』
王女『この研究は人間と魔族両方の歴史を鑑みても存在しない、前例がない魔法へのアプローチである』
王子『……静かに』
王女『そのため、未知の領域が多い。非常に危険なものだと理解してほしい』
44:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:35:50.37 ID:sZTlet6c0
2時間後――
王女『…………』
王子(王女のやつ、静かになったな)
王女『…………』
王子(もしかして眠ってる? いや、寝息は聞こえないか)
45:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:36:18.50 ID:sZTlet6c0
王子『は? お前なにを言ってんの。そんな難しい本、理解なんて出来るわけねーだろ』
王女『ううん、出来た』ブンブン
王子『……出来た、って。僕も――いや、大人だってその本を理解できた人いないんだぞ。嘘も大概にしとけ』
王女『出来たもん!』エッヘン
46:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:36:45.66 ID:sZTlet6c0
自慢気に薄い胸をそる王女。
彼女が生まれてから10年間、家族として一緒に過ごしてきた。だから、王女が嘘をついていないことはその目を見て分かった。分かってしまった。
王子『……なんだよ、それ』
47:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:37:17.84 ID:sZTlet6c0
王女『どう? 凄いでしょ?』ジマンゲー
屈託なく笑う妹に、腹の奥底からわっと怒りが湧いた。
王子『……お前は嘘つきだ』
48:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:37:51.28 ID:sZTlet6c0
王女『嘘なんてついてないよっ』
王子『嘘だ! お前は嘘つきだ!』
王女『ついてない!』
王子『いや、ついてる! 理解なんて出来るはずない!』
王女『……なんで』
49:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:44:35.38 ID:sZTlet6c0
王子『――っつ』
王女『ひぐ……うぅ……』
王子『わ、悪か――』
王女『うわああああああん!』
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