6:吹き矢[sage saga]
2023/04/07(金) 15:11:48.10 ID:laNpeqI/0
RRR RRR RRr...
『はい。美琴です。どうしたの、プロデューサー』
「あ、いや! レッスン、終わった頃かなと思ってさ。その、怪我とかなかったかて確認の連絡」
『そう。うん、大丈夫。私もにちかちゃんも特に何もなかったかな』
それは何よりだ。——と言いたかったが。美琴の声がやや反響して聞こえる。まさかとは思うが。
「……美琴、今どこにいるんだ」
『…………』
「美琴?」
『……どうしても、少し確認したいところがあって』
ああ、スタジオだ。絶対にスタジオだ。
美琴の声はどこか申し訳なさそうに、トーンが低い。彼女自身負い目を感じてはいるのだろう。ただそれよりも練習をという意気込みが勝ったのだ。
「美琴……。気持ちはわかる。次のライブへの意気込みはこれまで以上に美琴もにちかからも強く感じてるから。ただ、だからこそしっかりと体調管理をして欲しいんだ。——ただ休むんじゃないんだぞ。誰から見ても体と心が大丈夫だなて思われてこその体調管理なんだからな」
彼女たちの想いの強さが分かるからこそ、決して怒鳴るようなことはせず、優しく諭した。
『……うん、そうだね。じゃあ、このあとはお休みをもらうことにするから。……しっかりと体調管理、プロデューサーもね』
「そ、そうだな。しっかり……しないとな」鋭いブーメランが突き刺さった。
確かに美琴の言う通り、ここ最近休みと呼べるような休みを取れていなかった。スケジュール管理はダンスや歌のできない自分にとって、唯一アイドルたちの模範になれるところだというのに。
『そうだね。一緒に、頑張ろうか。プロデューサー』
「ああ、そうだな! まずは美琴はこのあとしっかりと体を休めてくれ。明日もレッスンだろ? 俺はあとにちかにだけ連絡を取ったら寝ることにするよ」
『うん、分かった。……おやすみ』
「ああ、おやすみ」
通話終了。
さて、あとはにちかだ。美琴と一緒でないところを考えると、既に帰宅しているのだろうか。
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