4:吹き矢[sage saga]
2023/04/07(金) 15:10:48.84 ID:laNpeqI/0
にちかは足で上手くステップをとり、俺は両手をあげて海藻のように腰を左右に振った。二人でアカペラでwow wowとSHHisの一曲『Fashionable』のワンフレーズを繰り返した。
以前、にちかの仕事がうまく行ったときに「嬉しいなら嬉しいで、それなりに表現してくださいよー」と言われ、それ以来お互いに嬉しい時は小踊りするのが決まりのようになっていた。
「ふふ、二人とも、楽しそうだね」「みっ、美琴さん!」美琴がにちかの背後から声をかけると、にちかはピタリと踊るのをやめた。流石に美琴に見られるのは恥ずかしいのか、「プロデューサーさんにどーーしても! 嬉しいから踊らないかて誘われたので、仕方なく! はい、仕方なく、もう頼まれちゃ仕方ないな〜と思ったので! ね! プロデューサーさん! ね!?」と必死に弁明している。別にそんなことを美琴は気にはしてないだろうけど。
「そうなんだ。……何かあったの、プロデューサー」
「ああ、この雑誌の——「この雑誌でSHHisについて語ってくれてるんですよ〜! もう美琴さんの魅力分かってんなーてぐらいしっかり話してくれてるんですよ! やばくないですか!?」
にちかは俺の手から雑誌を奪い取ると、美琴に該当ページを読めるように開いて手渡した。美琴は物静かにそれを読み、にちかやSHHisについて語られたページも含め何度もインタビューを読み耽る。
その間にちかは通知簿を見られている少女のように落ち着きがなかった。自分のページを読まれているという事実と、その内容に美琴が(そんなことはないが)もし否定を入れたら等と考え出したら不安が止まらなくなったようだ。
それは俺もそうだった。小踊りしたはいいものの、もし美琴としては(そんなことはないのだが)良い気分では無かったら、と考えると若干落ち着かない。社長に企画書を提出し、それを拝読されている時よりもハラハラする。
「にちかちゃん」「はっ、はい!」
「指摘されている箇所、確かに私も思うところはあったかも……。ダンスパフォーマンスだけじゃなく、他にも方法を考えようか」「! は、はい……」
にちかは少ししょげたようで美琴の目を直視できず、目線を足下に落とした。
(私、こんな事ではしゃいで……馬鹿みたい。やっぱり美琴さんは凄いな)なんて思っているのだろうか。内心どこかで美琴に褒められるかもと期待していたのかもしれない。また先程まで踊るほど騒いでしまっていた分、美琴の向上心に尊敬と後悔を抱いていた。
「……。にちかちゃん」「はい……」
「踊っちゃおうか」「ッ。はい!」
Cause I, I, I'm fashionable “先駆け”よ
どうぞ好きなだけ Follow me now
It's no no no explanation 強がっても
なりたい姿はこんな私でしょ Wow wow wow...
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