39: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/13(金) 12:35:39.72 ID:fZboHQww0
栞子「……! 翡翠の民をご存じなのですか!? 私は翡翠の巫女です……!」
花丸「なるほど。やっと、役割を果たすときが来たってことだね」
そう言いながら、花丸さんは本を置きながら、立ち上がる。
侑「役割を果たす……? どういうことですか……?」
花丸「こっちに来てくれるかな」
そう言いながら、花丸さんは壁際の方へと歩いて行き……壁中に敷き詰められている本棚の中の本を1冊押し込むと──下の階で見たのと同じように、ガコンと音がする。
直後、ゴゴゴと音を立てながら、本棚が横にスライドしていく。
せつ菜「隠し部屋の中にさらに隠し通路が……!?」
花丸「栞子ちゃんが探しているものは、この先にあるよ」
栞子「本当ですか……!」
花丸さんに言われたとおり、隠し通路の中へと歩いて行くと……その中には小さな部屋があった。
歩夢「あの……花丸さん。ここは一体……?」
花丸「ここは大時計の時計盤の裏側だよ。そして……ダリア王室の隠し宝物庫だった場所ずら」
しずく「隠し宝物庫……」
せつ菜「花丸さん、先ほど役割を果たすときが来たと仰っていましたよね? 一体、貴方は……?」
花丸「えっと、なんて言えばいいのかな……? マルは門番みたいなものなのかな?」
侑「門番……?」
花丸「マルは、ダリア大学に入学したあと、ずっとここの図書館で働きながら研究をしてたんだけど……ある日、史書の整理をしてるときに、この部屋の存在に気付いたんだ。そして、ここにある本を読んで驚いた。大昔にあった大戦時のことが書かれた本が大量に見つかった。……そこには焚書されたと思われたものもたくさん」
かすみ「ふんしょ……?」
しずく「言論統制や検閲のために、本を焼却することだよ」
せつ菜「つまり……隠された歴史がここにある……ということですか……?」
花丸「そういうこと。その中には……翡翠の民と翡翠の巫女の話も出てきてた」
栞子「それでは……」
花丸「ここには、オトノキ地方にかつて栄えたダリア王家と、翡翠の民たちの歴史と……失われたディアンシー伝説、龍神伝説の真実が記されているずら」
侑「伝説の……真実……?」
花丸「実際に、見て確かめてみるといいよ。マルは外で待ってるから」
そう言って花丸さんは、小部屋から出て行こうとする。
栞子「あ、あの……花丸さん、貴方はどうしてここを守っていたんですか……?」
花丸「んー……たぶん、これが外に漏れると、情報が検閲されちゃうんじゃないかって思ったからかな。ジムリーダーになって、ここをポケモンジムに改修したら、誰も手を出せないと思って、ここにジムを構えたんだ。だから、ここの部屋の存在はマル以外のリーグの人間は誰も知らないよ」
侑「そういう……理由だったんだ……」
花丸さんは随分手の込んだジムリーダーだと思ったけど……本当はそういう理由があったんだ……。
花丸「あ、でも、ジムリーダーとしての責任はちゃんと果たしてるよ? トレーナーたちの知恵を試すジムが必要だと思ったのも本当だし!」
栞子「どうしてそこまでして……」
栞子ちゃんは埃一つ被っていない手入れの行き届いた古書を見ながら呟く。
それに対して花丸さんは、
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