32: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/13(金) 12:14:37.91 ID:fZboHQww0
■ChapterΔ003 『オトノキ地方』 【SIDE Yu】
空を飛んで数十分ほど。
ダリアシティの大時計塔が見えてくる。
侑「ウォーグル、降りるよ」
「ウォーグ!!」
私が高度を落とすと、それに合わせてせつ菜ちゃんと栞子ちゃんも一緒に降下を始める。
侑「到着っと……ここまで、ありがとう。戻って、ウォーグル」
「ウォーグ──」
ウォーグルをボールに戻しながら、ダリアのポケモンセンターの前に降り立つ。
せつ菜「ここに王家の秘宝が眠っているんですね!! なんだか、宝探しみたいでワクワクしてきました!!」
リナ『微妙に大袈裟になってる……』 ||  ̄ ᇫ  ̄ ||
歩夢「あはは……。……それで、栞子ちゃん。どこに行けばいい?」
歩夢がそう訊ねるけど、
栞子「え、えっと……」
栞子ちゃんはダリアの街をキョロキョロと見回しながら、狼狽えている様子だった。
歩夢「栞子ちゃん……?」
栞子「あ、あの……ここがダリアシティ……なんですよね?」
歩夢「え? う、うん」
栞子「その……私が昔写真で見たものとは全然様相が違うと言いますか……」
そう言いながら、栞子ちゃんがバッグから写真を1枚取り出す。
それをみんなで覗き込むと──それは白黒の写真だった。
侑「こ、これ……もしかしてダリアの写真……?」
「ブイ?」
栞子「はい……。……これが旧王都の今の姿だと……」
せつ菜「……100年以上前の写真な気がしますね」
歩夢「そういえば……歴史の教科書で見たことあるかも」
リナ『カメラが一般普及し始めたくらいに資料として撮られた街並みの風景だね。私のデータベースにもあるよ』 || ╹ᇫ╹ ||
栞子「そ、そうなのですか……!? すみません……これがそんなに古い写真だったなんて……。……私、小さい頃から翡翠の民の里と、朧月の洞以外の場所はほとんど見たことがなくて……」
歩夢「うぅん、大丈夫だよ♪ どこに宝珠が保管されてるかは聞いてる?」
栞子「詳しくはわかりませんが……ダリア王家と翡翠の民が地方を守るために預けた宝珠ですので、王家の名残のある場所にあるはずです。ダリア王宮はどこでしょうか?」
せつ菜「だ、ダリア王宮ですか……!?」
せつ菜ちゃんが眉をハの字にしながら声をあげる。
栞子「は、はい……どうかされたんですか……?」
歩夢「えっと……ダリア王宮は、100年前にあった地震で修復不可能なくらいの損傷を受けて……安全のことも考えて解体されたの……」
栞子「え……!?」
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