25: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/12(木) 12:05:40.31 ID:7Lt++ad/0
善子「菜々。貴方は……図鑑を貰っただけでチャンピオンになったつもりなの?」
せつ菜「え……?」
善子「確かにこの地方の歴代チャンピオンは皆ポケモン図鑑所有者だったかもしれない。でも、図鑑所有者が全員チャンピオンになったわけじゃない。それなら私だってとっくにこの地方のチャンピオンよ」
せつ菜「それは……」
善子「目的に掲げていたものがなくなって戸惑うのは理解出来る。でも、貴方がポケモンバトルをしていたのは、図鑑を持っていなかったからなの?」
せつ菜「……違います。……ポケモンバトルが……好きだからです……」
善子「でしょ? それにチャンピオンになったトレーナーは、最初のポケモンと図鑑を貰ったから、チャンピオンになったんじゃない。……誰よりも、ポケモンのことを信頼して、強くなることにひたむきに向き合って努力し続けた結果なの。それは貴方が一番よくわかってるでしょう?」
せつ菜「……はい」
善子「本当にチャンピオン──最強のトレーナーになることに興味がなくなったのなら、私は何も言わないわ。だけど、図鑑を貰ったことが理由だって言うなら……そんなものチャンピオンになってから考えなさい。まだ、貴方は一度も千歌に勝ててない。今でもチャレンジャーなんだから」
せつ菜「……はい」
善子「……あと個人的なわがままを言うなら……」
せつ菜「……?」
善子「私も……自分のもとから旅立ったトレーナーがチャンピオンになる姿を見てみたい……」
せつ菜「ヨハネ博士……」
善子「もし、目的を見失ってどうすればいいのかわからなくなっちゃったなら……私の夢を一緒に叶えることを目的にして欲しいわ。菜々がチャンピオンマントを背負う姿を……私に見せて」
せつ菜「……博士……。……わかりました、いつか必ず……博士にチャンピオンマントをお見せします。……私、この地方の……チャンピオンになります……!」
善子「ん、よろしい。……それでこそ、私が見つけ出した最高のリトルデーモン・菜々よ……。……頑張りなさい」
せつ菜「……はい!」
影から二人のやり取りを見ていた私を見てリナちゃんが、
リナ『侑さん、入らないの?』 || ╹ ◡ ╹ ||
そう訊ねてくる。
侑「邪魔しない方がいいかなって」
ヨハネ博士が、図鑑を渡したトレーナーたちに優劣を付けているわけじゃないけど……それでもせつ菜ちゃん──菜々ちゃんとの絆は少し特別なものだろうから。
リナ『……そうだね』 || ╹ ◡ ╹ ||
侑「ちょっと散歩でもしてこよっか」
リナ『うん』 || ╹ ◡ ╹ ||
少しの間、セキレイの街を散歩することにしたのであった。
🎹 🎹 🎹
──翌日。
歩夢「……うん! 熱も下がってる!」
栞子「……すみません、ご迷惑をお掛けしてしまって……」
栞子ちゃんの容態はすっかり安定していた。
栞子「皆さんも……助けてくださって、ありがとうございます……」
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