233: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/21(土) 12:22:48.73 ID:Vp8VUFfr0
龍神様はただ、目の前にいるだけなのに──強い存在感を放っている。
「キリュリリュリシイィィィィィィ!!!」 (翡翠の巫女よ、力を返すがいい)
栞子「……力をお返しする前に……龍神様にお話ししたいことがあります」
「リュリシィ…、リュリキリュリシィ」 (話だと……? 矮小な人の子が我に何を話そうと?)
栞子「この地方の人々に……危害を加えないでいただけませんか」
「リュリシィ、キリュリリュリシイィィィィィィ…!!!!」 (またその話か? 巫女風情が何様だ!)
龍神様は私の言葉に怒るように咆哮をあげる。
かすみ「め、めっちゃ怒ってるよ……!?」
「キリュリリュリシイィィィィィィ…!!!! キリュリリュリシイィィィィィィ!!!!」 (巫女よ、貴様も人がポケモンに何をしたかをわかっているだろう。人間のために、これまでどれだけの数のポケモンが命を落とした)
栞子「それは理解しています……ですが、それは過去の話です……! 今生きている人々にまで背負わせる罪科ではないはずです……!」
「キリュリ…キリュリリュリシイィィィィィィ!!! キリュリリュリシイィィィィィィ!!!」 (過去? よく言ったものだな。人は過ちを繰り返し今でもポケモンの命を奪い、危機に晒しているではないか)
栞子「確かに、そういう人間もいるかもしれません……。ですが、全ての人々がそのような悪しき心を持っているわけではありません……!」
「キリュシィ、リリュリシィ…キリュリリュリシィ」 (仕える巫女でありながら、あくまで人の肩を持つか……愚かな)
栞子「……そうではありません……。人に、ポケモンに、危害を加える悪しき人間も居ますが……それ以上に、ポケモンを大切に想い、慈しみ、共に生きている人々も大勢いるんです……!」
「…………」 (…………)
栞子「私は……あの洞の中で過ごしていたら、一生それに気付くことはありませんでした……。ですが、自分の目で……見てきたんです。人とポケモンが、手を取り合い、生きている姿を……」
私は龍神様に、この地方で見てきたものを伝える。
栞子「知っていますか……コメコシティでは、人とポケモンが力を合わせて毎日農業に励んでいます。フソウタウンでは、人のお祭りでありながら、ポケモンのためだけに作られた軽食が存在していました。ダリアでは日々ポケモンと共に生きる文化を学び、ローズではポケモンと共に生きるための技術が研究されているそうです……人は、ポケモンの敵ではないんです」
「キリュリリュリシィ」 (だから、過去の過ちをなかったことにしろと?)
栞子「そうではありません……! 確かに、人間が戦禍にポケモンを巻き込んだことは事実です……ですが、今の人々はそれを繰り返さないよう、良き隣人として、ポケモンと共存する道を選んで前に進んでいるんです……! 龍神様の目指される世界がポケモンにとってより良き世界であるなら……そこに人間は必要だと、私は感じました」
「キリュリリュリシィ…」 (ポケモンが生きる世界に、人間が必要だと?)
栞子「そうです。……人間もポケモンも、この地方に住まう仲間です……。……必要なことは、どちらかのためにどちらかを追い出し、滅ぼすことではなく……手を取り合い、共存する道なのではありませんか? この地方を作られたディアンシー様が望んだ世界も、そうだったはずです……違いますか……?」
「…………」 (…………)
栞子「龍神様……。……もう、龍神様が人間を監視などしなくても……人はポケモンと共に生きることを選び取れるくらい、強くなりました。……ですから……」
「キリュリリュリシイィィィィィィ…!!!!」 (ならば、先の異変はなんだ!!!)
栞子「……っ!」
龍神様の雄叫びと共に、突風が吹きつけ、私は尻餅をつく。
歩夢「栞子ちゃん……!?」
栞子「へ、平気です……!」
私はすぐに立ち上がる。
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