207: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/20(金) 12:17:43.12 ID:WJiIP5Z70
栞子「月……?」
ランジュ「栞子……私と約束したじゃない……。いつか、一緒に月を見ようって……」
栞子「……はい。確かに約束しましたが……」
ランジュ「でも、栞子は……修行を終えた翡翠の巫女は……一生あの朧月の洞の中で、レックウザの世話をするんだって……」
栞子「それは……」
ランジュ「だから、ランジュ……思ったの。そんなレックウザを、ランジュが捕まえて従えることが出来れば……栞子は、翡翠の巫女のお役目から解放されるんじゃないかって……!」
栞子「……! ……まさか、それで……」
ランジュ「だっておかしいじゃない……! どうして栞子だけ、自分のしたいことを何一つ出来ないまま、一生あの洞の中で閉じ込められてなきゃいけないの……? ……せっかく栞子とお友達になれたのに……。……栞子と一緒になんにも出来ないなんて……ランジュは嫌よ……」
栞子「ランジュ……」
ミア「それでは……急にレックウザを諦めたのは……」
ランジュ「圧倒的な強さでないと、レックウザは従ってくれないと思った……それに……」
ランジュは寂しそうな目で、私の後ろにいる歩夢さんたちを見る。
ランジュ「ランジュがいなくても……栞子には、大切にしてくれるお友達が出来たみたいだから……」
栞子「え……?」
ランジュ「栞子には……ランジュしかいないって勝手に思ってたけど……気付いたら、栞子はたくさんの仲間に囲まれてて……」
栞子「…………」
ランジュ「……だから、きっと……もうランジュの出る幕じゃないんだって……思って……」
栞子「………………」
私は一歩前に出る。
ランジュ「……ごめんなさい。……やっぱり、怒ったわよね。お節介なことして……」
栞子「…………ランジュ」
ランジュ「だから、もう……ランジュ、余計なこと、しないから……」
栞子「……ランジュッ!!」
ランジュ「……っ!」
私が大きな声を出すと、ランジュがビクッと身を竦ませた。
栞子「どうして──どうして、ランジュはいつもいつも……私の話を聞かずに、全部自分で決めてしまうんですか……!」
ランジュ「え……」
栞子「歩夢さんたちは、確かに私のことを仲間だと、友人だと言ってくれました……でも、それとランジュが私にとって大切な友人であることは関係ありません……!!」
ランジュ「……! ……で、でも……ランジュ、いつも栞子のこと、怒らせて……」
栞子「だからそれは、ランジュが私の話を聞かずに、全部一人で決めてしまうからです……!」
ランジュ「そ、そうなの……?」
栞子「心配しているなら、最初からそう言ってください……! 何も言ってくれなかったら……わかりません……」
そう言って、ランジュの手を握る。
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