206: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/20(金) 12:17:05.96 ID:WJiIP5Z70
■ChapterΔ010 『ランジュ』 【SIDE Shioriko】
栞子「──ランジュ……やっと、見つけましたよ」
ランジュは、やはりここにいました。
ランジュの向こうには──薄ぼんやりとした雲の影の中で輝く満月が見えた。
栞子「……月の綺麗な場所があると……言っていましたね。いつか、一緒に見に行きたいと……」
ランジュ「…………」
栞子「確かに、綺麗な満月ですね……夜空以外に何もなくて……とても綺麗に月が見えます」
煌々と光る、星たちと月に見守られたここは──天体観測でも有名な地、流星山。
ランジュ「なんの……用かしら……」
栞子「ランジュに、話を聞きに来ました」
ランジュ「話って……ランジュ、もうレックウザのことは諦めたわ……。……宝珠も、栞子が持ってるんでしょ……?」
栞子「そうではありません。……どうして、ランジュが龍神様を従えようとしていたのか……その理由を、聞きに来たんです」
ランジュ「…………」
栞子「教えてくれませんか……?」
ランジュ「嫌よ……。……だって、栞子……きっと、怒るもの」
栞子「ランジュ……」
ランジュはやはり答えてくれない。
そんな私の後ろから──
ミア「ならせめて、なんで諦めたのかを説明してくれないか? ボクはまだ納得してないぞ」
ランジュ「ミア……」
歩夢「ランジュちゃん……お話……出来ないかな……?」
かすみ「あんな風にいなくなられると後味も悪いですし……」
ランジュ「貴方たちまで……」
ミア「ランジュが言ったんだ。ボクのポケモンを使って、最強を証明するって。勝手に決めて、勝手にいなくなるなよ」
ランジュ「…………」
侑「ランジュちゃん……訳を話してもらえないかな……?」
栞子「ランジュ……お願いします。怒ったりしないので……教えてください」
ランジュ「…………」
ランジュは押し黙っていたけれど──
ランジュ「……月が……見られないから……」
ぽつりぽつりと、話し始めた。
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