175: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/18(水) 21:06:14.21 ID:1Gm0czzm0
私はギュッとボールを握り込む。
自分が弱いことは……自分が一番わかっている。
自分にバトルの才能がないことだって……わかっています。
でも──
栞子「……私は……ずっと後ろで皆さんの戦いを見てきました」
私には、かすみさんのように、意表を突く奇抜な戦い方は出来ません。
せつ菜さんのように、裏打ちされた自信と、確かな実力で、盤石な戦いを展開することは出来ません。
しずくさんのように、誰にも予想出来ないような舞台を自身の力で作り出すことも……。
歩夢さんのように、信じられないような力で圧倒することも出来ない……。
栞子「私は……皆さんのように、上手に戦うことは出来ません……だけど──」
私は真っすぐランジュに視線をぶつける。
栞子「諦めないで最後まで戦うことは……私にだって出来ます……!」
ランジュ「…………」
栞子「ランジュが勝手に、私の可能性を決めないでください……!!」
私は──ボールを投げる。
「──ワォンッ!!!!」
栞子「ウインディ!! “かえんほうしゃ”!!」
「ワォンッ!!!」
ウインディが炎を噴き出すが──それより早く、
ランジュ「“かげうち”!!」
「ガルド!!!」
「ワオンッ…!!」
ウインディの足元から影が立ち上り、ウインディを攻撃する。
でも、ギルガルドも“かえんほうしゃ”に飲み込まれ──
「…ガル、ド…」
ここまでの蓄積ダメージもあって、やっと崩れ落ちる。
栞子「これで……1対1です……!」
ランジュ「……体力の削れたウインディで、サザンドラに勝てると思ってるの?」
栞子「まだ、勝負はついてません……!」
ランジュ「……侑、もう決着はついてるようなものよ。ここで試合を無効に出来るのは、貴方たちにとっても悪い話じゃないと思うんだけど」
栞子「ランジュ……!! どうして、そこまでして試合をなかったことにしたがるんですか……!?」
ランジュ「……そんなの……栞子と、これ以上戦いたくないからに決まってるじゃない……」
栞子「どうしてですか!? 私が弱いからですか!?」
ランジュ「そうよ。栞子は弱い」
栞子「……っ!」
真っ向から、弱いと言われ、言葉に詰まる。
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