162: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/18(水) 20:51:06.91 ID:1Gm0czzm0
歩夢がドアを開けると、
栞子「……! 歩夢さん、目を覚まされたんですね……! よかった……」
栞子ちゃんは歩夢の姿を見て、ホッと安堵の息を漏らす。
歩夢「心配掛けちゃってごめんね……」
栞子「いえ……ご無事なら何よりです」
侑「それで……どうかしたの?」
栞子「あ、はい。……実は、侑さんにご相談がありまして……」
侑「相談……?」
🎹 🎹 🎹
侑「──最終戦を栞子ちゃんが……?」
栞子「……はい」
栞子ちゃんから打診されたのは──ランジュちゃんとの五番勝負、その最終戦を自分に戦わせてくれないかというお願いだった。
栞子「最後になって……こんなことをお願いするのは不躾だというのは理解していますが……」
侑「それは構わないけど……どうして急に……?」
ここまで見てきた感じだと……栞子ちゃんは積極的にバトルをしたがる性格ではないし、純粋に疑問だった。
栞子「……皆さんの戦う姿を見ていて……思ったんです。……見ず知らずの私のために……皆さん、あんなに必死に戦ってくれて……。……歩夢さんやしずくさんに至っては、倒れるまで……。……それなのに、私だけが何もしないで見ているだけでいいのかと……」
歩夢「そんなに気負わなくてもいいんだよ……! せつ菜ちゃんも言ってたけど、困ったときはお互い様だよ! 栞子ちゃんは今までずっと一人で地方を守ってくれてたんだし……!」
栞子「いえ……元はと言えば……私とランジュの問題なんです……。本来は、私がランジュを止めなくてはいけなかったのに……」
栞子ちゃんなりに……戦う私たちを見て、ずっと責任を感じていたのかもしれない。
栞子「それに……皆さんの戦う姿を見ていて……私も勇気を貰ったんです。勝てないなんて最初から決めつけず、最後まで諦めずに戦う……私もそんな強さが欲しいと……」
歩夢「栞子ちゃん……」
侑「……わかった。そういうことなら、最終戦──大将は栞子ちゃんにお願いしていい?」
栞子「……! はい!」
栞子ちゃんは私の言葉を聞くと、パァァっと表情が明るくなる。
栞子「それでは、皆さんにもそう報告してきます……!」
侑「うん、お願いね」
栞子ちゃんは一度恭しく私に頭を下げたあと、部屋を出て、下の階へと下りていく。
歩夢「侑ちゃん……いいの?」
歩夢の問い。恐らく、栞子ちゃんはそこまでバトル慣れしていなさそうだし……私が戦った方が勝率は高いと思う。
そういう意味での、「いいの?」という問い。
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