90: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/19(月) 12:05:29.53 ID:c3b0uZJF0
鞠莉「いつものように、修復作業をやってたんだけど……図鑑から出てきたポリゴンZからは、ポリゴンZというポケモンが持っている異常行動がほぼ解消されていて……何故かポリゴン2のような挙動になっていた。わたしはそれに気付いて、図鑑のプログラムを自分で直接解析してみたんだけど……」
ルビィ「あ、あの……自分で出来るなら、最初からそうした方が……」
善子「ルビ助……これ以上、突っ込まないであげて。そういう人なの……」
鞠莉「そこには、コンピューターウイルスのような謎のプログラムが存在していた。その最上部に9文字の信号あったんだけど……『・・・−−−・・・』と記されていたわ」
海未「……とんとんとんつーつーつーとんとんとん……? あの……もう少しわかりやすく言っていただけると……」
曜「……もしかして……SOS?」
海未「SOS……どういうことですか……?」
曜「『・・・−−−・・・』ってモールス信号でSOSって意味なんです」
海未「……モールス信号……! なるほど……」
鞠莉「そう、これを見た瞬間、わたしに対して助けを求めてるんだって理解した。だから、わたしはこのプログラムを少しずつ展開して、解析していった結果──かなり高度な人工知能のプログラムに近いものになっていることがわかった。それも今の人間には到底作れないレベルのもの。ただ、そんなものは移植するのも簡単に出来るわけじゃない、だから……」
リナ『鞠莉博士はそのプログラム──つまり私に開発環境へのアクセスを許可してくれた。そこから、私は言語情報を介して、人とコンタクトを取れる形に自身のプログラムを書き換えた』 || ╹ᇫ╹ ||
鞠莉「それが自己進化型AIリナの正体よ」
侑「そう、だったんだ……」
ただの図鑑じゃないことはわかっていたけど……リナちゃんが生まれた理由は私の想像の何倍も上を行っていた。
いや……ここにいる誰もが、想像しえなかったことじゃないだろうか。
ダイヤ「そんなことが……ありえるのですか……?」
鞠莉「まあ、実際にリナは、こうしてここにいるわけだしね」
花丸「事実は小説よりも奇なりとはこのことずら……」
リナ『ただ……私は自分の名前がRinaだってことと、誰かと繋がりたい、お話ししたいって気持ちがあることしか覚えてなかった』 || ╹ᇫ╹ ||
鞠莉「だから、図鑑に組み込んで……いろんなデータを参照できるようにしてあげたの」
リナ『お陰ですごい物知りになった』 || > ◡ < ||
鞠莉「肝心の記憶が蘇ることはなかったけどね……」
海未「……リナがそういう存在であることは理解しました。……では、やぶれた世界から来たという根拠は?」
鞠莉「……まあ、正直これに関しては消去法ね。リナを発見したときのメンテナンスの直前に果南はやぶれた世界に行っていた。あそこなら何かおかしなことがあっても不思議じゃないし……そこに当たりを付けたの。それに……」
海未「それに……?」
鞠莉「果南は……やれぶた世界で不思議なものを見てる」
海未「不思議なもの……ですか……?」
果南「やぶれた世界で、私はギラティナを止めるために……かなり下層まで潜ったんだけど……。そこで見つけたんだよね」
理亞「見つけたって……何を……?」
果南「……とんでもない大きさのピンクダイヤモンドを」
ルビィ「え……ま、まさかそれって……!」
理亞「ディアンシーの……ダイヤモンド……!?」
ルビィさんと理亞さんは心底驚いたような反応を示す。
ダイヤ「……そういえば鞠莉さん、それくらいの時期に、宝石に意思は宿るか……なんてことを、わたくしに訊ねてきたことありましたわね」
鞠莉「そのときダイヤは、宝石には持ち主の意思や魂が宿ると昔から考えられているって答えたのよね。それを聞いて……そのピンクダイヤモンドに、リナの素になった存在の“魂”みたいなものが宿っていたんじゃないかと仮説を立てた」
果南「もしリナちゃんの“魂”の本体が、今もあのピンクダイヤモンドに閉じ込められてるなら、もう一度あそこに行く必要がある。でも……やぶれた世界へのゲートはグレイブ団事変のあと、なくなっちゃったんだよね……」
鞠莉「だから、確認は出来ていない。お陰で仮説の域を出ていないのだけど──彼方の話を聞いて、この仮説はわたしの中で確信に変わりつつある」
鞠莉さんは、彼方さんの方に向き直る。
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