8: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/16(金) 02:57:50.30 ID:eLOLjL7n0
ウォーグルと一緒に、再び飛翔する。
──大体の事情は、通話で歩夢がどうにかこうにか、パニックを起こしているかすみちゃんから聞き出してくれた。
しずくちゃんと一緒にグレイブマウンテンまでクマシュンを捕まえに来た事。
その最中に予兆もなく発生した雪崩に襲われ、クマシュンを庇ってしずくちゃんが巻き込まれてしまったこと。
かすみちゃんもどうにか、流されたしずくちゃんを助けようとしたけど……崖下まで流されてしまって、とてもじゃないけど、救出に行けなかったこと……。
侑「リナちゃん! しずくちゃんの図鑑の位置わかる!?」
リナ『すぐサーチする!!』 || ˋ ᇫ ˊ ||
リナちゃんが、バッグから飛び出してくる。
私は右手でウォーグルの脚を掴んだまま、左手でリナちゃんを掴んで、マップ表示を確認する。
侑「そんなに遠くない……!」
「イブィ!!」
リナ『地図だと平面的な位置しかわからない……! Y軸は私が口頭でガイドする! とりあえず、下に降りて!』 || ˋ ᇫ ˊ ||
侑「うん! ウォーグル! 行くよ!」
「ウォーーッ!!!!」
私はウォーグルに掴まったまま、図鑑の反応を頼りに、谷へと下っていく──
💧 💧 💧
「──フェロ」
──ものすごく美しいポケモンが居た。
その色香は、見ているだけで私を狂わせる、最上の美……。
私はそこに向かって手を伸ばす。
噫、もっと、もっと近くで見たい……触れたい……。
──この美しさに、一生溺れていたい……。
私は手を伸ばす。
あと少しで、それに触れられそうになった──そのとき、
──『しず子っ!!!』
声が響いて、私は手を止めた。
──『あんなのより、かすみんの方がずっと、ずーーーーっと!!! 可愛くて、美しくて、綺麗で、魅力的でしょ!!!?』
かすみさんが、私に向かって、叫んでいた。
──『毒だか、フェロモンだか知らないけどッ!!! あんな変なやつに負けないでッ!!!! かすみんがいるからッ!!!!』
かすみさんの声が、私の中で木霊している。
私は──
しずく『……そうだ……こんなものに……こんなまやかしに……負けちゃ、ダメだ……!!』
私は、目の前の幻想を──振り払った。
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