741: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/09(月) 00:28:12.28 ID:jK0Y5xHa0
生物が高エネルギー次元でどうなるかの論文だ。
のそのそと起き上がって──りなりーの机にあったファイルの中から、論文を探す。
愛「……あった……」
そこにはご丁寧に、計算式とともに、生物が生命維持出来ず、情報レベルでバラバラになることが示されていた。
愛「…………」
アタシはなんとなく、それを開いたまま──ペンを持って、紙に計算式を書き始める。
もしかしたら……この式のどこかが間違っていて……りなりーは実はまだ生きているかもしれないなんて……そんな希望的観測にすがりながら。
──1時間経った。間違いは見つからない。
──2時間、3時間、4時間……。間違いはやっぱり見つからない。
──半日が経った。1日が経った。2日経って、3日経って……。
アタシは……ペンを落とした。
愛「…………間違ってるわけ……ないじゃん。……これ……りなりーが作った……理論なんだから……っ、間違ってるわけ……ないじゃん……っ」
りなりーのすごさは、アタシが一番知っている。
アタシも天才だなんて持て囃されていたけど……りなりーは別格だ。天才の中でも、一際飛びぬけた天才……。
そんな、りなりーが作り上げた理論に……間違いなんてあるはずなかった。
仮に間違いがあったとして……アタシにそれが見つけられるわけなかった。
──ポロポロと涙が零れて、大量の式を書き連ねたメモ紙が滲んでいく。
りなりーが作り上げた理論が……りなりーの死を……証明していた。
愛「……りなりー……っ、……りなりーっ、」
アタシは……どうするべきだったんだろうか。
わからない……。……わからない。
👏 👏 👏
ひとしきり泣いた。
ただ、何日も何も食べていない身体では、泣く体力もあまり残っていなかったらしく、気付けばぐったりしていた。
愛「………………このまま…………終われるかな…………」
空腹と疲労で頭がぼーっとしていた。目を瞑る。
このまま……りなりーの居る場所に……いけるかな……。
愛「…………りな、りー…………」
──『……愛さん……』──
りなりーの声が、聞こえた。
幻聴かな……。でも……いいや……りなりーの声が聞こえるなら……。
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