736: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/09(月) 00:22:37.88 ID:jK0Y5xHa0
白光のベベノムが床に転がって目を回していた。さっきの揺れで壁に叩きつけられて、気絶してしまったのかもしれない。
アタシはベベノムを抱き上げて……再び駆け出す。
後部倉庫の前にたどり着くと──……部屋の前には食料と水の入ったコンテナが置かれていた。
アタシはそれを避けて──
愛「りなりー……」
倉庫のドアを叩く。
愛「ねぇ、りなりー……」
叩く。
愛「りなりー……開けてよ……りなりー……っ……」
「ニャァ…」
何度戸を叩いて、名前を呼んでも──りなりーは返事をしてくれなかった。
👏 👏 👏
その後……アタシは抜け殻のようになったまま、自分たちの世界へ戻るシップの中で過ごしていた。
自動操縦で戻っていくシップの中で……死なない程度に食料と水を摂取していた。
……あと、もう1匹のベベノムが居ないことにも途中で気付いて探したけど……結局、見つけることは出来なかった。
何度か後部倉庫の扉を叩いて、りなりーの名前を呼んだりもしたけど──返事が戻ってくることはなかった。
ただ、現実感がなくて……ぼんやりと過ごしていた。
気付いたら──シップはアタシたちの世界へと戻ってきていた。
ハッチが開いたので、覚束ない足取りでシップの外に出ると──
果林「──愛……! よかった……!」
カリンとカナちゃんが駆け寄って来た。
フラフラな身体を、カリンに支えられる。
──きっとそのとき……よほど酷い顔をしていたんだと思う。
彼方「あ、愛ちゃん……?」
カナちゃんがアタシを見て、不安そうな声をあげた。
果林「……愛……? ……璃奈ちゃんは……?」
アタシは……ちらりと、シップを見た。
シップは──後部倉庫がなくなっていた……。
愛「──………………ちゃった……」
絞り出すような声で、
愛「……りなりー…………いなく……なっちゃった…………」
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