726: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/08(日) 13:45:09.98 ID:5MWtUFJH0
璃奈「…………」
愛『りなりー!! りなりー!? 返事して、りなりー!!』
気付けば、無線通信の向こうで愛さんが声を張り上げていた。
璃奈「あ……ごめん。……ちょっと考え事してた」
愛『……よ、よかった……返事がないから、何かあったのかと思った……』
璃奈「とりあえず、一旦中に戻る」
📶 📶 📶
愛「りなりー……! メインエンジン直りそう……?」
戻ると、愛さんが駆け寄ってきて、そう訊ねられる。
璃奈「たぶん、無理。完全に噴出口がひしゃげてる。無理に使ったら、エンジンそのものが耐えきれなくなって、最悪爆散する」
愛「そんな……」
璃奈「とりあえず、メインエンジンへの全てのエネルギー供給を遮断して、サブエンジンに送り込む」
愛「わかった……!」
とりあえず、使えないものに期待してもどうしようもない。
まさか、ウルトラスペース内で修理するわけにもいかないし……。
メインエンジンへのエネルギー供給を完全に遮断して、機能を停止させる。
だけど──あまりに間が悪すぎる。
今シップは……中心特異点の重力圏に捕まりつつある。
メインエンジンの推進力は全体の7割以上を占めている。
サブエンジンはあくまで微調整用のものでしかない。
もちろんメインエンジンの推進力をサブエンジンに回す分、サブエンジンの推進能力は上昇するけど……。
メインエンジンと同じだけのエネルギーを送り込んだら、間違いなくオーバーヒートして使い物にならなくなる。
璃奈「…………」
「ウニャァ〜…」
ニャスパーが鳴きながら心配そうに、私に身を摺り寄せてくる。
愛「りなりー!! メインエンジンへのエネルギー供給、完全に遮断して、サブエンジン側に切り替えた」
璃奈「ありがとう、愛さん」
愛「……でも、どうする? サブエンジンだけだと、スラスターを推進補助に使ったとしても、今の重力圏から逃げ切れるかどうか……」
愛さんも同じことに気付いている。
……そう、あまりにも間が悪すぎる。
いや……これは……──悪すぎる間で起こるようになっていたとも言える。
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