692: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/08(日) 12:54:06.70 ID:5MWtUFJH0
璃奈「……愛さん」
愛「ん?」
璃奈「……私は、ウルトラスペースについて、研究をするべきだと思う。お父さんやお母さんの言うとおり、世界のエネルギーが高次元空間に漏れているって言うなら……それはウルトラスペースのことだと思うし……それが漏れ続ける原因を知ることが、私たちの研究の目指すべき場所」
愛「……だね」
璃奈「私たちは、自分たちでホールを作り出す方法も見つけてる……なら、今後も同じようにホールを発生させて、ウルトラスペースを調査する必要があると思う」
愛「……ただ、そのためには必要なものがあるかな」
璃奈「必要なもの……?」
愛「戦う力だよ」
璃奈「どういうこと……?」
私は愛さんの言葉に首を傾げてしまう。
愛「これ、記述の中にさ……現れたウルトラビーストによって、大きな被害を受けた国とか島がいくつもあったでしょ」
璃奈「う、うん……」
確かに愛さんの言うとおり、現れたウルトラビーストによって、人口の大半を失った国や沈んでしまった島もあった。
愛「私たちは確かにウルトラスペースに繋がるホールを自分たちで開ける術を見つけたけど……逆を言うなら、またウルトラビーストを呼び寄せる可能性もある。今回現れたマッシブーンがたまたま無害だったからよかったけど……もし、狂暴なウルトラビーストが現れてたら……プリズムステイツがなくなってたかもしれない」
璃奈「……確かに」
知らなかったとは言え、私たちは随分と危ない橋を渡っていたのかもしれない。
愛「となると……ウルトラビーストが現れても対抗出来るだけの戦力が必要になる」
璃奈「で、でも……私……戦闘は……」
愛「わかってる。だから、強い人たちに協力を仰ごう」
璃奈「協力……? どうやるの……?」
愛「それは、簡単だよ。アタシたちは──研究者なんだからさ」
📶 📶 📶
──愛さんが取った方法は、確かに簡単なことだった。
ウルトラスペースに繋がるホール──即ちウルトラホールの存在を学会に発表することだった。
最初は懐疑的に捉えている人も多かったけど……開いた瞬間の映像と、大量の統計データ、さらに伝承の資料などを提示されたら、さすがに学会も信じざるを得なかった。
それと同時に……私はお父さんとお母さんが唱えていた、世界からエネルギーが失われている説の発表をした。
そして──これ以上、世界からエネルギーが流出することを防ぐための研究をしているということも……。
この話は瞬く間に学会中に知れ渡り……なんと……。
璃奈「──プリズムステイツ政府から、政府研究機関に指定……」
愛「発表内容が内容だけに、政府が動いたね」
璃奈「予算も政府からたくさん下りた……なんだか大事になってきた」
愛「それだけ期待されてるってことだね。……なんせ、世界を救うことに直結する問題だからね。でも、研究所側も調子いいよね……実際、りなりーに所内の管理権限ほとんど与えてなかったのに、調子よくテンノウジ所長なんて発表しちゃって……」
璃奈「まあ、それはいいかな……。……実際、任されても管理は出来ないし……。……でも、これで前より自由に研究出来るようになった」
愛「それにアタシたちが狙ってた目的も達成されたしね」
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