663: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/08(日) 12:29:37.26 ID:5MWtUFJH0
愛「他に室員の人は?」
璃奈「……いない。この研究室は、私だけ……」
愛「え、そうなん?」
璃奈「強いて言うなら……」
「…ウニャァ〜」
机の影から──ニャスパーがとてとてと私の足元に寄ってくる。
そんなニャスパーを抱き上げて見せる。
璃奈「この子くらい……」
「ニャァ〜」
愛「おぉ、ニャスパーじゃん! よろしくね、ニャスパー!」
「ウニャァ〜」
愛「この子はりなりーのポケモン?」
璃奈「正確には……お父さんとお母さんのポケモンだけど……」
「ニャァ〜」
愛「へー、お父さんとお母さんも研究者だったりするの?」
璃奈「……うん。というか、この研究所の創設者」
愛「創設者!? え、めっちゃ偉い人じゃん……! どーりで、りなりーがその歳で自分の研究室持ってるわけだ……。……って、創設した人に挨拶もしないとか、さすがにやばいな……。ねぇ、りなりー! お父さんとお母さんに挨拶させてよ!」
璃奈「……無理。……それは出来ない」
愛「そう言わずにさ〜……」
璃奈「……出来ない。……もう、お父さんもお母さんも……いないから」
愛「……え」
彼女は言葉を詰まらせる。
璃奈「お父さんと、お母さんは……私が8歳のときに……研究中の事故で死んじゃったから」
愛「あ……ご、ごめん……」
璃奈「……別にいい。気にしてない。だから、この研究室は正確には私の研究室じゃない……。……お父さんとお母さんの研究室。二人が死んじゃってからは……ずっと私一人」
私は生まれたときからこの研究所で育ってきたから……ここは実質自分の家のようなものだ。
愛「……お父さんとお母さんとの思い出の研究室だから、他に誰も研究者を入れてないってこと……?」
璃奈「そういうわけじゃない。……誰も寄り付かないだけ」
愛「寄り付かない……? なんで……?」
璃奈「創設者の娘である私に嫌われたら、ここに居られないかもって考えてるからだと思う……。……だけど、私はこの研究所で一番子供。そんな人間の下について研究したいとも思わないだろうし、そんな人間を自分の下に付けたいモノ好きもいない」
つまり、腫れ物扱い……ということだ。
璃奈「相続はしてるから、私の研究所ということにはなってるけど……実際に管理しているのは別の人だし、私に誰かを追い出す権利とかはないと思う……。それでも、創設者の娘との間に問題が起こる可能性を考えて、近寄らないのがベターって思うのは合理的だと思う」
愛「合理的って……」
璃奈「別にそれに不満はない。この時代に住む場所に困らないだけでもすごくありがたいし、ご飯も食堂で作ってもらえる」
服も白衣を支給してもらえるし……衣食住に困らないだけで、十分な話だ。
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