649: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/07(土) 11:53:26.40 ID:Xct6+7De0
しずく「人の心に触れという文面からして……確実に進化する場所があるのは、文明のある世界だと考えていいでしょうね」
かすみ「つまり、かすみんたちがさっきまでいた世界じゃ、どう足掻いても進化しないってことだよね……」
せつ菜「はい。……それで、日輪と月輪が交差する時というのですが……単純に昼夜が切り替わる瞬間のことではないでしょうか?」
かすみ「まあ確かに太陽はお昼のものですし、月は夜のものですもんね」
しずく「となると……夕暮れか夜明け……ですかね」
侑「確かに、試してみる価値はあるよね」
歩夢「じゃあ、時間は夕暮れか夜明けとして……問題は場所だよね……」
かすみ「うーん……日輪と月輪が交差する場所……。太陽と月……どっちにも近い場所ですかね?」
せつ菜「天体に少しでも近いとなると……宇宙?」
リナ『それだと、昼夜の概念と人の心に触れって場所がおかしくならない?』 || ╹ᇫ╹ ||
せつ菜「あ、確かに……」
かすみ「じゃあ……一番近い場所……高い場所ってこと?」
しずく「……あぁっ!!」
そのとき、しずくちゃんが突然大きな声をあげる。
かすみ「ちょ……び、びっくりさせないでよ、しず子……!」
しずく「あ、ありました……! 太陽と月と縁の深い場所……!」
侑「ほ、ホントに……!?」
歩夢「どこなの……?」
しずく「カーテンクリフの遺跡です! あそこには、太陽信仰と月信仰があったと考えられていたはずです!」
せつ菜「確かに……私も同じような話を聞いたことがあります」
かすみ「太陽と月を同時に崇めるなんて、欲張りな遺跡ですねぇ……」
せつ菜「確か……真西から日差しが差すときと、真東から日差しが差すときに、雲海に映る巨大な人の形をした影を神として崇めた……とかだったような……。……もちろん、その正体は自分自身の影なんですけど……。東に見た場合と西に見た場合、両方の人が主張をした結果、2つの信仰が生まれたという話だった気がします」
しずく「せつ菜さん……詳しいですね」
せつ菜「私は修行でよく登っていたので……気になって調べたこともありますし、実際に西にも東にも巨人の影を作ってみたことがありますよ! それと、もう一つ……あそこには面白い話があるんですよ」
歩夢「面白い話……?」
せつ菜「時間帯で……遺跡の呼び方が変わるんです」
かすみ「へ? なんでですか……?」
侑「地名そのものが変わるってこと……?」
しずく「……そっか、夕暮れか夜明けかによって、崇拝対象自体が変わるから……」
歩夢「あ、なるほど……夕暮れの神様を崇拝した呼び方と、夜明けの神様を崇拝した呼び方があるんだ……」
せつ菜「はい! そういうことです! 夕暮れ時が近づくと“黄昏の階(たそがれのきざはし)”、夜明け時が近づくと“暁の階(あかつきのきざはし)”と呼ぶそうですよ」
侑「じゃあ、交差するって言うのは……」
せつ菜「黄昏と暁が切り替わる場所……と考えれば辻褄が合うのではないでしょうか」
かすみ「なんかそれっぽい気がしてきました……!」
侑「……ふふ♪」
──ふと、笑みが零れてしまう。
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