571: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/03(火) 12:54:46.12 ID:Sh64zN700
果林「……私が……撃墜します……」
……私が、手を……下すしか……ない。
👠 👠 👠
果林「…………なんで…………なんでよ……。……彼方……」
なんで、そんな道を選ぶのよ……。
なんで……。
果林「私を……置いていくの……」
ウルトラスペースシップは……倉庫部がない分、軽いからかむしろ通常よりもスピードが出ていた。
航行を続けていると──前方に彼方たちの乗っているシップが見えてきた。
私は通信を飛ばす。
果林「彼方っ!! 聞こえる!?」
私が問いかけると、
彼方『か、果林ちゃん……』
遥『果林さん……』
果林「止まって、二人とも!! お願いだから……!! もしここで止まってくれたら不問にするって、約束もしてもらった、だから、お願い……!!」
彼方『……でも、不問にして……計画に加担しろって、ことだよね……?』
果林「……彼方っ!! お願い、言うことを聞いて……!! 貴方を……失いたくないの……!!」
彼方『…………果林ちゃん』
果林「……知らない誰かの命よりも──私は貴方が大事なの……!! だから……っ!!」
私の言葉に対して──
彼方『…………わたしね、果林ちゃんに初めて会ったとき──ちょっと怖い子だなって思ったんだ……』
果林「……え……?」
彼方は突然、そんなことを言いだした。
彼方『……それは……果林ちゃんがそのときのわたしにとって……“知らない誰か”だったからなんだと思う……』
果林「…………」
彼方『でも……でもね……。……あのとき、果林ちゃんに会えて……よかったって、思うの……。……“知らない誰か”が、“大切な人”になったから、そう思うの……』
果林「かな……た……っ……」
彼方『……だから……“知らない誰か”が……いつかの自分にとって“大切な人”かもしれないって……思っちゃうんだ……。……だから、わたしは……戻れない……』
果林「…………っ……かなた……っ」
彼方『──……ごめんね、果林ちゃん』
その謝罪は──決別の言葉だった。
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