569: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/03(火) 12:53:01.28 ID:Sh64zN700
躊躇している暇はない。
そう思ったけど──
果林「…………今更……何にびびってるんだか……」
私の手は……震えていた。
果林「…………そりゃ……出来るなら……奪いたくなんて……ないわよ……」
誰も悲しまない世界があるなら、その方がいい。そんなの当たり前だ。そうに決まってる。
果林「…………でも…………選ばなくちゃいけないなら…………選ぶしか、ないじゃない…………っ」
黙って滅びを待つなんて……出来ない。
だから、せめて……私が背負うから……私以外のみんなを守るために……私が背負って……地獄に落ちるから……。
果林「…………」
私は覚悟を決めて、彼方の部屋へと向かう。
👠 👠 👠
──コンコン
果林「彼方、今いい?」
返事がない。
果林「……入るわよ」
でも、話すしかないから。
私が部屋の中へ入ると──そこは本当に誰もいなかった。
今は深夜だ。外出しているとは考えにくいのだけど……。
果林「どこに行ったのかしら……?」
そんな風に言葉を漏らした、まさにそのときだった──
──『緊急事態発生。緊急事態発生。』──
施設内にアラートが鳴りだした。
果林「な、なに……!?」
──『何者かが、ウルトラスペースシップを占拠し、発進しようとしています』
果林「……!」
今この場でそんなことをする理由がある人間なんて、数えるほどしかいない。
加えて、もぬけの殻になった彼方の自室……そんなのもう……!
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