555: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/03(火) 12:35:22.67 ID:Sh64zN700
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私たちのやっていることは……簡潔に言ってしまえば、この世界を救うための最先端活動だ。
璃奈ちゃんと愛が、ウルトラスペースと言われる異次元空間の存在を発見したことを端に、プリズムステイツ政府はそれに世界の命運を懸けて、多額の予算と──そして、警備隊から多くの戦力を実行部隊として送り込んだ。
最初は研究機関が戦力を求める理由がよくわからなかったけど……どうやら、ウルトラスペースという空間には、ウルトラビーストと呼ばれる危険な生物がいるらしく、私たちはその生物たちとの戦闘を想定して、ここに呼ばれたらしい。
特に私と彼方は、特別優秀な戦力として数えられているらしく、私は攻めの対ウルトラビースト戦略、彼方は守りの対ウルトラビースト戦略を任されている。
今回のこの研究の注目度はかなりのもので……物資や土地の奪い合いで睨み合っていた他国も、プリズムステイツ政府に多額の資金援助や物資援助を申し出ているほど……つまり、全世界が私たちの動向に注目している。
私と彼方は孤児院の経営のために、稼ぎの良い仕事していただけのはずなのにね……──璃奈ちゃんや愛が常軌を逸した天才で、世界が注目するのはわかるけど……。
ただ、その理由は実際にここに来て、すぐにわかった。世界が注目している研究ということは──世界中からメディアも押し寄せてくるからだ。
国家間での電信通信なんてものが失われて久しいこの世界において、各国のメディアは何がなんでも自国に情報を持ち帰りたがる。有り体に言えば……少し強引なこともしてくる。
故に──前に立たせる人間が欲しかったということだ。
そして、私はそれに選ばれた。理由は……俗的な話だけど、要約すると顔とスタイルがよかったかららしい。
若くて、麗しい少女たちが前線に立ち戦う姿は、人々から支持を得やすいという目論見が上にはあるらしかった。
まあ……俗的だとは思うけど、容姿を褒められて悪い気はしないし、私はそこまで嫌だとは思わなかった。
何より、人前に出るのが極端に苦手な璃奈ちゃんを守る盾は必要だったわけだし、理由にも納得出来た。
……目立ちたがり屋の愛は、たまに勝手に付いてきて一緒に取材を受けていることもあったけど……。
──気付けば私たち4人は……世界中の期待を背負って、世界の命運を託されていたのだった。
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璃奈「空間歪曲率上昇。ウルトラホール、展開」
璃奈ちゃんが機器を操作する中、ガラス張りの向こうにある実験室で──空間に穴があく。
愛「おっけー、ホール安定。このまま、維持するよ。ベベノム、苦しくない?」
『ベベノ〜』『ベベノ〜』
愛が端末越しに2匹のベベノムに話しかけると、ベベノムたちは元気に返事をする。
果林「それにしても……ベベノムがウルトラビースト……ねぇ……」
彼方「ベベノムって、街外れの丘にたくさんいるからね〜……。“虹の家”の外でもたまに見かけてたよね」
ウルトラビーストは大きなエネルギーを体に持っていて──それによって空間を歪めて、ウルトラホールをあけることが出来る……璃奈ちゃんたちが突き止めた大発見はこれによって始まったらしい。
実際に目の前で奇怪な空間の穴を何度も見せられているので、それが嘘ではないということは理解出来ているけど……ちょっと街の外れにいくと生息しているポピュラーなポケモンが、危険と称されるウルトラビーストの仲間だったと言われてもなかなかピンとこない。
彼方「……すやぁ……」
果林「彼方、寝ないの」
彼方「えぇ〜……だってぇ〜……毎回、こうやってホールを見てるだけなんだもん〜……」
果林「私たちは万が一に備えてここに居るのよ」
彼方「わかってるけど〜……」
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