544: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/03(火) 12:16:45.81 ID:Sh64zN700
■Chapter067 『果林』 【SIDE Emma】
姫乃ちゃんとの戦いを終えて……。
彼方「いったたたたっ!!」
遥「うーん……肋骨……かなり折れてるね……。よくこれで肺に刺さらなかったね……」
彼方「お、お姉ちゃん……運、いいからね〜……」
遥「でもあんまり激しく動いちゃダメだよ? これから刺さるかもしれないし……」
彼方「善処しま〜す……」
今は戦闘後の治療の真っ最中。
そんな中わたしは、どうしても彼方ちゃんに聞きたいことがあった。
エマ「ねぇ、彼方ちゃん」
彼方「ん〜? な〜に〜?」
エマ「……彼方ちゃんって、果林ちゃんと一緒の孤児院で育ったって……さっき言ってたよね……?」
彼方「ああうん。……そうだね……」
エマ「……あのね、わたし姫乃ちゃんに言われてハッとしたの……。……わたし、果林ちゃんのこと……本当は何も知らないんじゃないかって……それで、説得しに来たなんて言っても……お前に何がわかるんだ〜って言われちゃって当然なのかなって……」
わたしが勝手に、果林ちゃんのことをわかった気になっていただけな気がしてならない。
もちろん、だからといって今の果林ちゃんを放っておけないという気持ちは本当だけど……。
エマ「ねぇ、彼方ちゃん……果林ちゃんが自分の住んでた世界にいたとき……どんな子だったか……教えてくれないかな……?」
彼方「…………結構辛い話になると思うけど、それでもいい?」
彼方ちゃんがそう確認を取ってくる。
エマ「うん……。むしろ、果林ちゃんの辛い気持ちに寄り添ってあげたいから……教えて」
わたしの言葉を聞くと、彼方ちゃんは頷いた。
彼方「……わかった。…………そうだなぁ……あれは……果林ちゃんが“虹の家”に来たときだから……もう、7年も前になるのかな……」
彼方ちゃんはそう前置いて、話し始めた。
👠 👠 👠
──崖下で陽炎に揺れ燃える大地の中で、侑と歩夢が私と戦うために身構えていた。
しずくちゃんには……まんまとやられてしまった。まさかあんな形で裏切られるなんて……噫、私はいつもこうだ。
璃奈ちゃんも彼方も……みんな……私の傍から離れて行ってしまう。
愛も……本当に仲間と呼べた頃が、もう記憶の遥か遠くで……。今は何をしたいのかがよくわからない。
きっと……私の味方は……本当は最初から誰もいなかった……。全てがめちゃくちゃになった……あの、厄災の夜から──
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