534: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/02(月) 14:04:04.37 ID:VUrl28Mg0
お父さんはそう言って、私の頭を一度だけ撫でた。
その後、背を向けて──
菜々父「……私は、ポケモンを好きにはなれないけどな……」
それだけ言うと、数人のガードの人と共に、お父さんは行ってしまった。
せつ菜「えっ……と……?」
菜々母「……ふふ、許してくれるって」
せつ菜「そ、そういうことで……いいの……?」
菜々母「お父さん……菜々にいろいろ言っちゃったから、素直に認めづらいみたいだけど……菜々のポケモンリーグのビデオ見てるとき、すっごく熱くなってたのよ?」
せつ菜「え?」
菜々母「判定に対して、『今のは合理的に考えて審判がおかしかった。やり直すべきだ』って」
せつ菜「お父さんが……?」
菜々母「そうよ。……菜々の試合を見てたらね……菜々がすごく真剣で、菜々は本当にこれが大好きなんだって……お父さんもお母さんも、わかったから」
そう言いながら、お母さんは私を抱きしめる。
菜々母「ごめんね、菜々……。私たち……貴方ともっともっとお話ししなくちゃいけなかった……。……遅いかもしれないけど……これからたくさん、菜々の大好きなもの、大切なもの……私たちに教えてくれないかな……?」
せつ菜「…………うん……っ……。私こそ……今まで……ちゃんと、言えなくて……ごめんなさい……っ……」
菜々母「うぅん……大丈夫よ」
お母さんは私を抱きしめながら、頭を撫でてくれた。
菜々母「それでね……。実は菜々……貴方に会いたいって人がいるの」
せつ菜「え……?」
そう言って、お母さんが私を離すと──その後ろに、その人が居た。
善子「──こうして……博士として会うのは……初めてかもしれないわね。せつ菜。……いいえ──菜々」
せつ菜「ヨハネ……博士……?」
善子「やっと、会えた……」
ヨハネ博士は私の目の前まで歩いてくる。
善子「手、出して」
せつ菜「え?」
善子「いいから」
私が手を出すと──
善子「これから頑張りなさい。……貴方は──このヨハネにとって、初めて旅に送り出すトレーナーなんだから」
せつ菜「……あ」
私の手の平に上に──真っ赤なポケモン図鑑と……モンスターボールが1つ、置かれていた。
善子「貴方のポケモン図鑑と──」
ヨハネ博士が私の手に乗せられたモンスターボールのボタンを押し込むと──
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