504: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/02(月) 13:30:44.67 ID:VUrl28Mg0
■Chapter066 『決戦! チャンピオン・千歌!』 【SIDE Setsuna】
──ドクン、ドクンと心臓が脈打ち、口から飛び出してきそうだった。
もう二度と、戦うことがないと思っていたのに。あれで──あの戦いで終わりだと、全て終わってしまったと……思っていたのに。
千歌さんが──私の目の前に居た。
今の私に勝てるの?
ウルトラビーストもなしに、彼女に……勝てるの……?
『特別』のない私が……『特別』な彼女に、勝てるの……?
そこまで考えて──私は頭を振った。
やめよう。そんなことを考えても意味はない。
ギュッとボールを握り込む。
『特別』がなくても、私は彼女に何度も挑んだ。
そして何度も負けて、何度も何度も悔しくて泣いて、それでも何度も何度も何度も彼女の戦いを見返して、考えて、分析して……次は勝てるようにと、そう自分に言い聞かせて、私は──私たちは強くなった。強くなってきた。
私のトレーナー人生は──千歌さんを倒すためだけに存在していたと言っても過言ではない。
これはきっと、千歌さんの最後の気まぐれだ。
もう二度と巡ってこない、本当の本当に最後のチャンス。彼女を超えるための──最後のチャンスなんだ。
せつ菜「……すぅ……。……はぁ……」
息を吸って、吐いて──ボールを握り込んだ。
せつ菜「行くよ……! ゲンガー!!」
「──ゲンガァァーーーッ!!!!」
ボールからゲンガーが飛び出す。
せつ菜「“シャドーボール”!!」
「ゲン、ガーーーッ!!!!」
フィールドに飛び出すと同時に発射された“シャドーボール”が猛スピードでルカリオに向かって飛んでいく、だが、
千歌「……“はっけい”っ!!」
「グゥオッ!!!!」
千歌さんとルカリオが“シャドーボール”に掌打を合わせるように放つと、パァンッと音を立てながら、“シャドーボール”が霧散する。
大丈夫、これくらいのことは当たり前。やってくるに決まってる。
だけど、私が次の攻撃に入ろうと思ったときには、
「──グゥォッ!!!!」
ルカリオは“しんそく”でゲンガーに肉薄していた。
そして、波導の剣を構える。
──恐らく技は、“いあいぎり”。本来ゴーストタイプのゲンガーには効かない技だが、彼女のルカリオが放つ刃は実体のないものすら“みやぶる”必中の斬撃。
あまりに速過ぎる、“しんそく”の居合が、ゲンガーを捉えようとした瞬間──
千歌「……!! ルカリオッ!!」
「グゥォッ…!!!」
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