481: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/01(日) 03:21:33.19 ID:w+jDVHjQ0
私に気付いた理亞が、少し不安そうな顔をする。
まあ、これから行うのは事情聴取ですから……多少の不安はあるでしょう。
そして──事情聴取をする当の本人に顔を向ける。
海未「……それと、聖良。……初めましてという方がいいでしょうか」
聖良「……ええ。お会いするのは初めてですね……」
海未「その様子だと……すっかり、声は出るようになったようですね」
聖良「ふふ、理亞がずっと話し相手になってくれていましたからね」
そう言って笑う聖良は、意外にも悪人の顔の片鱗は感じられず……その表情は、私が幼い頃、年の離れた姉から向けられていた顔に近い物を感じました。
……つまり、姉の顔ということです。
聖良「それで、私に聞きたいのは……グレイブ団事変の真相というところでしょうか?」
海未「……それもですが……今、この地方は少々立て込んでいまして……。貴方に聞きたいのは、この人物たちのことです」
そう言いながら、私は端末に二人の人物の写真を表示して、聖良に見せる。
聖良「……愛さんと果林さんですか」
海未「……! やはり、面識があるのですね」
聖良「はい。私たちの飛空艇──Saint Snowの設計をしてくださったのは愛さんです。……そして、果林さんからは資金協力を頂いていました」
海未「どうりであれほどの規模の飛空艇が作れたわけですね……。彼女たちとはどうやって?」
聖良「ディアンシーの研究をしている際に、私の研究内容をどこかで掴んでコンタクトを取ってきたという感じでした」
海未「では、向こうから……?」
聖良「はい」
海未「ふむ……」
自分から協力を名乗り出たということは……。
海未「……向こうの要求はなんだったんですか?」
必ず対価を求められたはずだ。
聖良「ディアンシーの捕獲に成功し、全てが終わったら──ディアルガ、パルキア、ギラティナを渡す約束をしていました」
海未「なんですって?」
私は少し考える。……確かにその3匹を手中に収めておけば、こちらは果林たちを追跡することがほぼ不可能になっていた。
……ということは、彼女たちはこの3匹の伝説のポケモンたちの力で、自分たちを追跡される可能性に最初から気付いていた……?
それなら一応筋は通っていますが……なんだか釈然としない。
聖良とのコンタクトがグレイブ団事変の前ということは……3年以上前のことなわけだ。
そのときには果林はモデル事務所をフェローチェの力で掌握し、表舞台に出ていたとはいえ……そこまで想定出来るものなのでしょうか……。
海未「果林は……その3匹を手に入れて何をしようとしていたのかわかりますか?」
聖良「いえ、そこまでは……という以前に、その3匹を欲しがっていたのは果林さんではありませんよ」
海未「果林ではない……? では……」
聖良「はい、その3匹を欲しがっていたのは愛さんです。加えて、そのことは果林さんには言わないで欲しいと言われていたので……。果林さんに言われたことと言えば……そうですね……出来る限りオトノキ地方内の戦力を削って欲しいとは言われましたが……」
海未「……」
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