46: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/17(土) 16:18:07.17 ID:Lud+ZHkk0
侑「はぁ……っ……はぁ……っ……あ、ありがとう……ニャスパー……」
「ニャァ」
彼方「ぅ……ぐ、ぅ……」
かすみ「侑、先輩……っ……! かな、た先輩……っ……!」
かすみちゃんが、よろけながら、私たちのもとへと歩いてくる。
かすみ「だいじょうぶ……ですか……」
侑「……か、かすみちゃん……身体は……」
かすみ「かす、みん……これくらい……へい、き……です……」
かすみちゃんはそう言うけど、見るからに満身創痍。もう限界だ。
彼方「かす、み……ちゃん……たた、か……っちゃ……ダメ……ゆうちゃん、と……逃げ、て……──」
侑「彼方さん……っ!!」
彼方さんは最後にそう言い残すと──意識を失ってしまった。
かすみ「歩夢、先輩……取り、戻したら……そっこーで、逃げ、ますよ……」
侑「……かすみ、ちゃん……」
あくまで強がるかすみちゃんを見て、果林さんは感心した風に口を開く。
果林「……さすがに驚いたわ。咄嗟に身を引かなかったら、やられてたかもね」
「フェロ…」
かすみ「どんな、もんですか……! ヤブクロン、が……一発、かまして、やりましたよ……!」
果林「はぁ……弱いネズミでも、追い詰められると噛み付いてくるものね。……いいわ、ちゃんと──殺してあげる」
果林さんの目に──明確な殺意が宿った。
歩夢「侑ちゃんっ!! かすみちゃんっ!! 逃げてぇぇぇっ!!」
果林「フェローチェ」
「フェロ」
またしても、フェローチェの姿が掻き消える、そして次の瞬間には──かすみちゃんの目の前で脚を振り上げたフェローチェの姿。
でももうかすみちゃんには、どう考えても避ける体力すら残ってない。
侑「──かすみちゃん……っ!!」
かすみ「ゆ、ぅ……せんぱ……」
私はかすみちゃんを庇うように、飛び付く。
でも──振り下ろされる脚を避け切るのは不可能……もう、間に合わない。
ぎゅっと目を瞑って──死を覚悟した、そのとき、
歩夢「──もう、やめてぇぇぇぇぇっ!!!!」
歩夢の叫びが一帯に響き渡った。
──フェローチェの脚は、私の脳天を掠るか掠らないかの場所で、ピタリと止まっていた。
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