435: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/30(金) 14:39:31.35 ID:loIPccok0
──お姉ちゃん……もう、死んじゃう……みたい……。
もう身体に力も入らない……。ごめんね……。
心の中で謝った、瞬間。
「──お姉ちゃんっ!!!!」
彼方「え……?」
姫乃「……な……!?」
走り込んできた影が──わたしを庇うように、飛び付いてきた。
影はわたしを抱きしめたまま、二人で転がるようにして、“エアスラッシュ”をギリギリで回避する。
誰かが、助けてくれた……? いや、誰かなんて、言うまでもない。
わたしがこの声を聞き間違えるはずがない。
全身に走る激痛を堪えながら、顔を上げる。
すると、そこには、
遥「おねえ、ちゃん……間に合って、よかった……」
他の誰でもない──わたしの世界で一番大切な妹が、
彼方「遥ちゃん……!!」
遥ちゃんがいた。
そして同時に──手にぬるりとした感触がする。
それは──血だった。
彼方「遥ちゃん……!? “エアスラッシュ”が……!?」
遥「えへへ……掠っちゃった……みたい……」
彼方「い、今すぐ治療を……!!」
遥「お姉ちゃん……」
彼方「遥ちゃん……!? なに……!?」
遥「……誰かを守ることを……迷わないで……」
彼方「え……」
遥「……お姉ちゃんの力は……誰かを守る力だから……。……お姉ちゃんにしか出来ない……優しい、強さだから……」
彼方「遥……ちゃん……」
遥「だから……負け、ないで……」
遥ちゃんがカクリと崩れ落ちる。
彼方「遥ちゃん……!?」
遥「…………」
すぐさま、首筋に指を当てると──辛うじて脈はまだある。
彼方ちゃんが全身の激痛に耐えながら立ち上がると──
「…ママァン…」
気付けば、満身創痍なはずのママンボウが岩石の上を跳ねながら、わたしたちのすぐ傍まで来ていた。
きっと、崩れ落ちる“いわなだれ”に一緒に巻き込まれて、落ちてきたんだ……。
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