431: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/30(金) 14:32:38.61 ID:loIPccok0
「ツンデ」
彼方「……どんな、もんだ〜……彼方ちゃんの、防御力は……無敵だぞ〜……」
姫乃「……彼方さん、貴方はどこまでも受動的ですね」
彼方「……?」
姫乃「貴方が動くときは……いつも自分からではなく、周りの人間が動いてからなんですよ」
彼方「……何が、言いたいの……」
姫乃「貴方が“MOON”まで上り詰めておきながら……組織を裏切った理由。……それは遥さんではないですか?」
彼方「……!? は、遥ちゃんは関係ない……!!」
姫乃「やはり、図星ですか。……遥さんは争いを好まない人でしたからね。差し詰め、計画を知った遥さんから、何か言われたのが原因で逃げ出したんじゃないですか?」
彼方「ち、ちが……っ」
姫乃「いつも飄々としているのに、随分狼狽えているじゃないですか。それでは、遥さんに何を言われたのか、当ててあげましょうか? 『誰かを傷つけてまで、自分たちが助かるなんて間違ってる』。違いますか?」
彼方「……っ」
姫乃「ほら、やっぱり。結局貴方は人の言葉で動いているだけ。自分の意志もなく、ただ周りの誰かの意見に乗っかっているだけの受け身人間。そういう考えが、戦い方にも現れてるんじゃないですか? だから、貴方は防御ばかりする」
彼方「…………」
姫乃「そんな自分の意志がない人だから──ちょっと揺さぶられただけで、足元がお留守になるんです」
彼方「……っ!!?」
急に地面が揺れ、ただでさえ不安定な岩の山がガラガラと音を立てて崩れ始める。
彼方「“じしん”……!? しまっ……!!」
ツンデツンデの“じしん”によるものだと気付いたときには、もう時すでに遅し。わたしは崩れ落ちる岩に巻き込まれて、滑り落ちる。
滑落しながら、わたしの全身に大小様々な岩が衝突し、
彼方「い゛、っ゛……ぁ゛……」
“いわなだれ”が収まった頃には、全身がズタボロになっていた。
身を起こそうとするけど、
彼方「ぁ゛……ぐ……ぅ……」
全身に激痛が走り、思わず呻き声をあげる。
全身打ち身だらけだし……右腕とあばら骨辺りは痛み方からして、たぶん折れてる……──あ、ヤバイ……。痛みで意識が朦朧としてくる。
ぼんやりする思考の中で──あのときの遥ちゃんと話したことが脳裏を過ぎる。
──────
────
──
遥「お姉ちゃん……!!」
青い顔をして、遥ちゃんが私の部屋に飛び込んできた。
彼方「遥ちゃん? どうしたの?」
遥「お、お姉ちゃん……これ、本当……?」
震える声で遥ちゃんが差し出してきたのは──ある書類だった。
それは、わたしが“MOON”に昇格する旨の書かれた辞令。
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