432: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/30(金) 14:34:26.74 ID:loIPccok0
彼方「実行部隊のお姉ちゃんのお部屋に入ったの?」
遥「それに……この計画書……」
彼方「……ダメだよ、勝手に入っちゃ……」
遥「誤魔化さないで……! これに書いてあること……ホントなの……?」
彼方「それは……」
そこに書いてあった計画書には……ざっくりと他世界を衰退させることによって、わたしたちの世界を再生する計画が記されていた。
まだ、幹部クラスの人間にしか知らされていない、今後の組織の方針内容だ。
遥「私たち……こんなこと、しようとしてたの……?」
彼方「遥ちゃん……」
遥「自分たちが助かるために……他の世界の人たちを犠牲にしようとしてるの……?」
彼方「…………」
遥「お姉ちゃんは……こんなことに賛成してるの……?」
彼方「ち、違うよ……! ……彼方ちゃんも、反対はしてるけど……なかなか上層部は聞き入れてくれなくって……」
それに彼方ちゃんはつい最近、愛ちゃんが“SUN”を外れた結果、繰り上がりで“MOON”に昇格しただけで発言権がそこまで大きくないし……。
なにより……反対派だった、璃奈ちゃんと愛ちゃんが二人ともいなくなったせいで、今は特に賛成派の意見が強くなっている。
彼方「あんまり、大きな声で反対したら……きっといい顔されない。お姉ちゃんはそれでも大丈夫だけど……きっと、妹の遥ちゃんまで、そういう目で見られることになる……」
遥「そんな理由で守られても嬉しくないよ……!」
彼方「……遥ちゃん……」
遥「このままじゃ……異世界間で侵略戦争になっちゃう……。私たちがこんなことに加担してるなんて知ったら……死んじゃったお母さんが……悲しむよ……」
彼方「…………」
──この崩落する世界の瘴気にやられて身体を壊し……1年ほど前に他界したお母さんは、孤児院を作って多くの子供たちを受け入れていた人だ。
残り少ない資源しか残っていないこの小さな世界だから……譲り合って、助け合って、お互いを守り合おうと、そんな理念で、孤児院を運営し……わたしたちを育ててくれた。
彼方「…………」
確かにお母さんは悲しむかもしれない。
だけど……それだけじゃ、遥ちゃんを守れない……。
でも、悩むわたしに向かって、遥ちゃんは……。
遥「お姉ちゃん……。……どんな理由があっても……誰かを助けるために、誰かが傷つくことを肯定するなんて……間違ってる……」
彼方「遥ちゃん……」
遥「もし、それを肯定しないとここに居られないなら……こんなところに無理に居続けなくていい……」
彼方「…………」
遥「お姉ちゃんは幹部だから……そんな簡単に組織を抜けられないのもわかってる。……だから……私と一緒に逃げよう」
彼方「……遥ちゃん……? 逃げるって……」
遥「ウルトラスペースシップを使って……他の世界に逃げて、真実を伝えて匿ってもらおう……!」
彼方「そ、そんな、無茶だよ……! 第一、お姉ちゃんウルトラスペースシップの操縦なんて出来ないし……」
遥「ほとんど自動操縦だから、簡単な起動が出来れば大丈夫……! それに私は研究班で、起動方法くらいは習ってる……!」
彼方「遥ちゃん……本気……?」
遥「……本気だよ」
彼方「…………」
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