侑「ポケットモンスター虹ヶ咲!」 Part2
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428: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/30(金) 14:29:16.97 ID:loIPccok0

姫乃「…………そもそも、貴方も貴方です、彼方さん」

彼方「質問に答えてくれないかな」

姫乃「果林さんの痛みを理解していながら……何故、平気で裏切れるのか……私には理解できない……。貴方も“闇の落日”を見たでしょう? “虹の家”で育った子たちを知っているのでしょう……?」

彼方「…………」

エマ「“闇の落日”……? “虹の家”……?」

姫乃「知らないようなので教えてあげますよ……。私たちの世界は常に少しずつエネルギーを失い崩壊していっていますが……世界のエネルギーの喪失がある基準を超えた瞬間、一気に崩壊が進むんです……。それによって、7年前、大規模な大災害が起こった……それが“闇の落日”です。この落日によって多くの人が住む家を、家族を……そして故郷を……失った」

彼方「……。……そのときにたくさんの子供が孤児になって……それを受け入れていたのが、わたしのお母さんが作った……“虹の家”って場所だったんだ。……お母さんは、もう病気で亡くなっちゃったけど……」

姫乃「そして……果林さんはその“虹の家”に住んでいました」

エマ「え……」


じゃあ、果林ちゃんは……。


姫乃「目の前で……たくさん友人が瘴気の中で血を吐き、崩落する山に大切なポケモンたちが巻き込まれ、割れる大地に最愛の家族が飲み込まれ……故郷の島が毒の海に沈んだ……。たった一晩で……遺品や遺体どころか、自分の住んでいた場所さえ、影も形もなくなった……。果林さんは……そんな島の、唯一の生き残りなんです……」

エマ「そん……な……」

姫乃「それでも、果林さんは気丈だった。自分と同じ想いをする人がこれ以上生まれないようにと、自分の世界を守る道を選んだ。……それの何が間違ってるんですか? おかしいんですか? 果林さんの気持ちがわかる……? 苦しみがわかる……? 私には、そんな言葉を軽々しく口にする貴方の方がよほど理解出来ない……!! あの人の苦しみはわかってあげたくても……どんなに想像しても……計り知れないじゃないですか……」

エマ「…………」


わたしは、果林ちゃんの境遇を知って……言葉を失ってしまった。


姫乃「……他者を傷つけることを望んでない? そんなの当たり前じゃないですか……! ただ、自分たちか自分たち以外かを選ばなくちゃいけないから選んだだけです……! それを覚悟するのに、果林さんが何も思わなかったと本当に思うんですか!?」

エマ「それ、は……」

姫乃「貴方の言葉は、そんな果林さんの覚悟を踏みにじる言葉です……!! 果林さんが助けられなかった人たちを侮辱する言葉……!! だから私は、果林さんを惑わす貴方を……許さない……!!」
 「────」


怒りの言葉と共に──テッカグヤが岩壁を破壊しながら、“ヘビーボンバー”で落下してくる。


彼方「ムシャーナ!! “サイコキネシス”!! バイウールー!! “コットンガード”!!」
 「ムシャァァ〜〜!!!」「メェ〜〜〜」

姫乃「また同じ手ですか……。なら、これならどうですか……──行きなさい、ツンデツンデ!!」
 「──ツンデ」


そう言いながら、姫乃ちゃんが投げたボールから──もう1匹巨大なポケモンが飛び出してくる。


彼方「……!? 2匹目のウルトラビースト!?」

姫乃「ツンデツンデ!! “ヘビーボンバー”!!」
 「ツンデ」

彼方「……っ……!!」


彼方ちゃんが、わたしを全力で突き飛ばす。


エマ「……!? 彼方ちゃん!?」

彼方「エマちゃん……逃げて……!!」


直後──


 「ムシャァ〜〜…!!!」「メェェェェ〜〜〜!!!!」


ムシャーナとバイウールーが上から落ちてくる2つの巨体に巻き込まれ──轟音を立てながら、大地が割り砕け、それによって発生した衝撃波で、身体が宙を浮く。



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