425: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/30(金) 14:24:02.27 ID:loIPccok0
何か、僅かに耳に届いてくる音がある。本当に僅かに、違和感を認識できる程度の小さな音。
ただ、自然の音ではなく、明らかに何かから発生している……ノイズのような……。
何……この音……?
音といえば……あのチリーン……最初に姫乃ちゃんを浮遊させたあと、何もしてこなかったような……。
状況が飲み込めないまま困惑しているとき、ふと──この戦場に訪れる際に、かすみちゃんが言っていた言葉が頭を過ぎった。
──『あ、それならリナ子のえこーろーてーしょん……? みたいなやつで探してみるのは?』──
彼方「……エコー……ロケーション……?」
姫乃ちゃんは何故かわたしを無視して通り過ぎていった。
そして、さっきの台詞。
──『…………そろそろ……頃合いですか』──
それら全てが頭の中で繋がって、血の気が引いていく。
姫乃ちゃんはわたしを狙っているように見せかけて── 一人で逃げたエマちゃんが、わたしから十分に離れるのを待っていたんだとしたら……!?
彼方「ま、まずい!! エマちゃん……!!」
わたしはテッカグヤを追いかけて、全力疾走で走り出した。
🍞 🍞 🍞
エマ「パルスワン、全速力で走って……!!」
「ワンッ!!!」
私は片手で頭を押さえながら、パルスワンに指示を出す。
さっきから、明らかに自然の音と違うものが頭に響いてきて、気持ち悪い。
恐らく……ポケモンが発している音。
しかも、その発生源が徐々に近づいてきている。
直感でわかる──この音はわたしにとって、よくない音だ。
ゲートまではまだ距離があるけど……パルスワンなら全速力で走り続けられる。
それで、どうにか逃げきらなくちゃ……!
でも、そう思った瞬間──頭上から、轟音が響き、
エマ「……!?」
「ワフッ!!!?」
咄嗟に見上げた頭上から、大量の崩れた岩が落ちてくる。
エマ「パルスワン……!」
「ワッフッ!!!」
無理やりブレーキを掛け、落石に巻き込まれるのをギリギリ回避するけど、
エマ「……み、道が……」
目の前の道が落ちてきた大岩のせいで、完全に塞がれてしまう。
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