396: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/28(水) 11:46:15.20 ID:bMcrfVdQ0
二人が優しい表情で私を見つめてくる。
侑「……あ、あのね……私……」
ちゃんと、伝えなくちゃ……。息を吸って、
侑「…………歩夢を……助けに行くんだ……」
そう言葉にした。
でも、私の言葉を聞いたお父さんとお母さんは驚くどころか、
侑母「ふふ、知ってる」
侑父「わかってるよ」
優しい表情のまま、そう答える。
侑「え……?」
侑母「侑ちゃんが、歩夢ちゃんのこと助けに行かないわけないって……それくらい、お母さんたち最初からわかってるのよ?」
侑父「もしかしたら、言ってくれないんじゃないかって心配はしてたけどね」
侑「お父さん……お母さん……。……で、でもね……すごく危ないところに行くんだ……」
侑母「うん」
侑「もしかしたら……帰って、来られないかもしれない……」
侑父「大丈夫」
侑「え……?」
侑父「お父さんもお母さんも……侑のことを信じてるから」
侑「……!」
その言葉を聞いて──ふいに、頬を涙が伝った。
侑母「もう……泣くことないでしょ〜?」
そう言いながら、お母さんが席を立って、私の涙を指で優しく拭ってくれる。
侑「ご、ごめん……」
侑母「もちろんね……侑ちゃんが危ないところに行くのは心配……だけどね……侑ちゃんが自分で決めたことなんだよね? だったら、お母さんたちは侑ちゃんを信じて応援するよ」
侑「お母さん……」
侑父「ははっ、侑が泣くのを見たのは──歩夢ちゃんの旅立ちが決まったとき以来だね」
侑「!?/// お、お父さん!?///」
リナ『え? 侑さん、歩夢さんの旅立ちが決まったときに泣いちゃったの?』 || ╹ᇫ╹ ||
侑「リナちゃんがいるのに変なこと言わないでよ!?///」
──実は私は……歩夢が旅立ちの3人に選ばれたとき、泣いてしまった。
私は小さい頃からずっとポケモンが……ポケモンバトルが大好きで、ずっとずっとトレーナーに憧れていて……。
自分もいつかは最初のポケモンと図鑑を貰って旅に出ることが夢で、いつかそうなるんだって思っていたから……。
私じゃなくて──歩夢が、大切な幼馴染がそれに選ばれたことが嬉しくて誇らしかったのと同時に……なんで私じゃなかったんだろうって、悔しくて泣いてしまったんだ。
でも、そんな姿を見せたら、歩夢は絶対に旅立ちをやめてしまう。だから、気持ちはこの家の中までに留めて……歩夢にはちゃんとおめでとうと伝えた。
……その後、歩夢に旅に付いてきて欲しいとお願いされたときは、なんだかすごく安心したのを覚えている。
最初のポケモンと図鑑を貰ってではないけど……私も、ポケモンたちとの冒険の旅に出られるんだって……。
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